「日本のロボットはクマ率が高いのではないか」――そんな声がしばしば聞こえてくる。先日ソニーがイヌ型ロボット「aibo」を発表したばかりだが、イヌに負けず劣らずクマ型ロボットもよく見かける。
例えばNTTドコモの「ここくま」をはじめ、Hameeの「Hamic Bear」、富士通研究所の「子ぐま型ソーシャルロボット」、理化学研究所の「ROBEAR」など、日本ではなぜかクマをモチーフにしたロボットが目立つ。ロボットではないが、au未来研究所もぬいぐるみ型IoT(Internet of Things)デバイス「Comi Kuma」(コミクマ)を開発した。なぜクマなのか、各社に聞いてみた。
調査の結果「クマ人気」が判明
NTTドコモによれば、「最もポジティブな声が多く、最もネガティブな声が少なかったのがクマ」だという。65歳以上の男女300人以上に調査したところ、このような結果が出たそうだ。調査は2段階で行った。
最初の調査では「系統の絞り込み」を実施。「動物型」「ヒト型」「メカ型」の3系統について、既存の商品を基にヒアリングしたところ、意外にも不人気だったのは「メカ型」。「オモチャっぽい」「そもそも機械が好きじゃない」といったネガティブな声がたくさんあったという。
次に不評だったのが「ヒト型」。「部屋にまばたきをしている人形がいたら、見られている気がする」「口が動くのは腹話術の人形に見える」など、あまり高い評価を得られなかったそうだ。
それらに比べ「動物型」は人気が高かった。さらに、いろいろな動物のぬいぐるみやロボットを集めた結果、イヌやネコを抜いて「最もポジティブな声が多く、最もネガティブな声が少なかった」のがクマだったという。
イヌやネコはポジティブな意見が多い一方で、生活に身近であるためか「昔、イヌにお尻をかまれたことがある」「自分の家の庭に野良猫がおしっこしていくので猫よけを置いている」といったネガティブ印象も多かったそうだ。また、「チワワは好きだが、ブルドックやゴールデンレトリバーは好きじゃない」といった種類による好みの分岐も見られ「1つのデザインで多くの人を満足させるのが難しい」と判断したそうだ。
ちなみに、他社のクマ型製品が複数存在することは把握済みとのこと。「眉毛を使った感情表現は『ここくま』ならではのオリジナリティー。そのオリジナリティーを武器にしつつ、ユーザーの愛着を最優先した」と担当者は話す。
またHamic Bearを販売するHameeでは、3歳から小学生までを対象に調査した。その結果、複数の動物や、宇宙飛行士なども候補に挙がっていたが、NTTドコモ同様男女共にクマが圧勝したためクマ型を採用した。他社のロボット状況については参考にしていないそうだ。
子ぐま型ソーシャルロボットを制作した富士通研究所は、「ユーザーが感情移入しやすいことと、毛皮によるスキンシップの誘発を狙ってテディベアを採用した」とのこと。世界的にも受け入れられているデザインであることも理由の1つという。
研究分野では「ヒト型」の研究も目立つが、商品として売り出すとなると老若男女に愛されるデザインとして「動物型」という選択が時流のようだ。
(太田智美)
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