「絶対に発火しない電池」実現へ 「火を消す」電解液、東大など開発
絶対に発火しない電池実現へ――消火機能を備えた高性能有機電解液を、東京大学大学院などの研究グループが開発した。
絶対に発火しない電池実現へ――消火機能を備えた高性能有機電解液を、東京大学大学院などの研究グループが開発した。「電池の中に大量にあった燃料がすべて消火液に置き換るようなもの」であり、「従来、解決不可能なジレンマとされてきた2次電池の高エネルギー密度化・大型化と高度な安全性の確保の両立が可能になる」としている。
リチウムイオン電池には可燃性の有機電解液が含まれており、発火・爆発事故が多く報告されている。より高エネルギー密度・大型な2次電池も求められているが、発火リスクをさらに高めることになるため、発火を防ぐ新たな安全対策が求められてきた。
今回開発した電解液は、難燃性の有機溶媒と電解質塩のみでできており、引火点を持たない。さらに、温度が200度以上に上昇すると、蒸気が発生・拡散。この蒸気は消火剤になることから、発火リスクを広範囲・積極的に低減できるという。
電解液成分として必須とされてきた可燃性の有機溶媒を使っていないが、リチウムイオン電池・ナトリウムイオン電池の充放電を、長期にわたって安定して行えるという。
発火リスクがないため、電池の形状やサイズの自由度が上がるほか、外付けの安全機構が不要になったり、最大電流・カットオフ電圧などの制限が緩和される――など、さまざまな「攻め」の施策が可能になると研究グループは期待。長寿命化にもつながる可能性があるといい、電気自動車やスマートグリッドへの実用に耐える新型2次電池開発につながるとしている。
研究成果は、2017年11月27日付の英国学術雑誌Nature Energy電子版に掲載された
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