「ネット中立性」規則廃止決定を受けた主要ISPの声明まとめ
米FCCが「ネットの中立性」規定廃止を決定したことを受け、合法的に“有料高速道路”サービスを実施できるようになるISP各社が声明を発表した。
米連邦通信委員会(FCC)が12月14日(現地時間)に「ネットの中立性(net neutrality)」規定の廃止案を承認したことを受け、ComcastやAT&Tなど、いわゆるISP側の各社が声明を出したので、それをまとめておく。
前バラク・オバマ政権が採択したネット中立性規定が廃止されると、ISPは系列や提携先のストリーミングサービスによる配信を優先させたり、競合するサービスの回線速度を遅くしたりといったことを合法的にできるようになる。
Comcast
CATV最大手のComcastは「Comcastはオープンなインターネットにコミットしています」という特設ページで、合法的なコンテンツをブロックしたり、低速にしたり、差別したりすることはない、顧客ポリシーの完全な透明性を守る、顧客のために合法的なネット中立性保護を支持する、という3項目を提示している。
合法的なコンテンツをブロックしないというのは、FCCの廃止案で規定されていることだ。Comcastの宣言には、いわゆる有料高速道路(金を払うコンテンツプロバイダーに高速回線を提供する)システムを実施しないという項目はない。
Charter
米CATV市場2位のCharterは14日、「われわれはオープンなインターネットを支持してきた。今後も方針を変更する計画はない」というブログを公開した。
AT&T
大手通信キャリアのAT&Tは14日、ブログで「われわれは顧客にオープンで透明な方法でサービスを提供すると保証する」と宣言した。ただ、こちらも有料高速道路については触れておらず、実施の可能性はある。
Verizon
通信キャリアのVerizonは14日のFCCの決定後に特に声明文は発表していない。4月の段階ではComcastと同様の説明をしている。同社は既に自社サービスを優遇(無料化)する「ゼロレーティング」サービス「FreeBee Data」を提供している。
Spirnt
ソフトバンク傘下で米通信キャリア3位のSprintが14日に公開した声明文には「FCCの今日の決定はこれまでの不確実性を排除し、Sprintが自社ネットワークを管理し、競争力のある製品を提供することを可能にする」とある。「オープンなインターネットを促進する最善の方法は競争だ」とも。
T-Mobile
Sprintによる買収を拒否した4位のT-Mobileは14日、「われわれは常にオープンなインターネットを支持している。オープンなインターネットは顧客に革新的なサービスの提供を可能にする。われわれは今後も日々、すばらしいサービスと顧客サポートの提供を続ける」という短い声明文を公開した。
T-Mobileは13日、CATV企業を買収し、「CATV企業と戦う」と宣言した。同社は、T-Mobileの契約者以外も利用できるコンテンツ配信サービスを2018年中に立ち上げる計画だ。
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