“触れて話しかけられた”乳児は脳活動が促進される 京大の研究
京都大学が、身体接触と乳児の脳発達の関係を研究。「他者に身体を触れられながら話しかけられる経験」が、学習や予期に関わる乳児の脳活動を促進する可能性があると発表した。
京都大学は12月27日、乳児が体を触られながら話しかけられると、脳活動に影響を与えることが明らかになったと発表した。身体接触が無い場合に比べて、脳の学習機能を促進させる可能性があるという。
同大の研究グループは、生後7カ月の乳児28人を対象に「身体接触を伴いながら音声を聞く経験」が乳児の脳活動にどのような影響をもたらすのかを調査した。
実験では、乳児に(1)大人に身体に触れられながらある単語を5回連続して聞く、(2)直接身体に触れられることなく(1)とは別の単語を5回連続して聞く、の2つを交互に6回経験させた。その後、2つの単語をスピーカーから流し、それを聞いた乳児の脳活動を計測したという。
すると「身体に触れられずに単語を聞いた」場合に比べて「身体に触れられながら単語を聞いた」場合は、より高い脳波活動が見られた。
さらに大人から身体に触れられた時によく笑顔を見せた乳児ほど、その単語を聞いた時により高い脳波活動を示した。身体接触を伴う関わりは、多くの感覚情報を脳内で関連させ、そのうちの1つを知覚しただけで関連付けた別の感情を予測する脳活動が見られることも分かったという。
これまでも発達初期の乳児の心身成長には、視覚、聴覚、触覚など多様な身体感覚を介した関わりが重要だと考えられてきた。しかし、具体的に身体接触が乳児の脳発達にどのような影響を与えるかは分かっていなかったという。
研究グループは、虐待を受けた子供や、早産などで長期間の母子分離状況で育った子供は、脳の認知発達に影響があると報告されているとし、今後は「子どもと親に対する科学的根拠にもとづいた発達支援を提案していく」という。
研究成果は科学誌「Developmental Cognitive Neurosci」に12月15日付で掲載された。
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