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めんどくさい? 税率高すぎ? 仮想通貨の確定申告、税理士に聞いた(2/4 ページ)

「仮想通貨の確定申告は、どうすればいいの?」「申告しないとどうなるの?」――ITに詳しい税理士の杉山靖彦さんに聞いた。

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 いえ、申告した方がいいです。申告すべき収入があるのに申告しないと、税務調査が入る可能性が高まります。時効は7年ですから逃げ切るのは結構大変です。

 無申告で税務調査が入り、申告すべき収益があったことが発覚すると、本来支払うべきだった税金に「無申告加算税」が加算され、税額が増えます。悪質であると認められた場合はさらに「重加算税」が掛かり罰則が重くなります。また、金利に相当する「延滞税」が年利7%以上付きますので、5年後に見つかったりしたら、ほとんどすべてを税金で取られてしまうことになります

 申告をしていれば当然、無申告加算税はかかりません。申告した内容が不正確で、税務調査で過少申告が指摘されれた場合は、「過少申告加算税」を支払うことになりますが、無申告加算税より額も少なく、延滞税がかかる期間も短いです。

――無申告が税務署にバレる可能性はどれぐらいあるんでしょうか?

 うーん、分かりませんが……。日本の仮想通貨取引所は、税務署から「取引レポートを出せ」と言われる可能性があり、「嫌だ」と逆らえる取引所がどれぐらいあるかと考えると、申告はしておいた方がいいでしょうね。

 海外の仮想通貨取引所で取引していたとしても、日本が租税条約を結んでいる国なら、日本の税務署から「情報を出してくれ」と言うことは可能です。

課税所得の計算法は?

――仮想通貨取引の課税所得の額は、どうやって計算すればいいんでしょうか?

 まず、仮想通貨を買った時点では税金はかかりません。仮想通貨を何かに交換した時点で、税金のことを考えなくてはいけません

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仮想通貨を何かに交換した時点(青矢印)で税金を考える必要がある

 10万円で買った仮想通貨が値上がりして、100万円になった時点で売った場合、「円に交換した」ことになりますから、差額の90万円が所得です。

 このようにして売買のたびに所得を計算し、それを1年分(17年1月1日〜12月31日まで)すべて足し算した合計が所得額になります。

――仮想通貨を何度にも分けて購入している場合、購入価格はどう計算すればいいんでしょうか?

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国税庁の資料より

 国税庁の資料(PDF)では、「『移動平均法』が相当だが、継続して適用するなら『総平均法』でもよい」と言っています。

 移動平均法とは、仮想通貨購入のたびに購入額と残高を平均し、単価を計算する方法です。購入ごとに計算する必要があり面倒ですが、その都度利益を計算できます。

 総平均法は、1年間の購入金額の総額(前年からの繰り越し分も含む)を1年間に購入した取得数量で割る方法です。これなら取得単価の計算は年1回で済みますが、1年が終わるまで利益額が確定しません。

 計算方法は途中で変えることはできず、一度決めたら同じ計算方法を来年以降もずっと続ける必要があります。

――仮想通貨が値下がりして、損をしたこともあります。利益から損失を差し引いてもいいですか?

 はい。仮想通貨取引の損益は通算できます。

 例えば、(1)10万円で買った仮想通貨が100万円になった時に売った、(2)さらに100万円で仮想通貨を買ったが、値下がりして70万円になった時に売った――場合。

 (1)で90万円の利益を得ていますが、(2)で30万円損していますから、年間の所得は、90万円-30万円=60万円になります。

【訂正:2018年1月13日午前11時半:初出時、損益計算を一部誤って記載しており、修正しました】

――ほかの雑所得とも、損益を通算できますか?

 はい。仮想通貨取引以外の雑所得がある人の場合、その雑所得とも損益通算できます。給与所得や事業所得など、雑所得以外の所得とは通算できません。

――購入した仮想通貨を売らず、ずっと持っています。含み益は申告する必要がありますか?

 必要ありません。

 年始に10万円で買った仮想通貨が年末に100万円になり、90万円の含み益が出ていても、それを円に換えるなど「別のものに交換」しない限り、課税所得にはなりません

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