niconico“炎上発表会”の舞台裏 「新しいものは賛否両論あっていい」 新トップ栗田取締役独占インタビュー:川上氏の思いは(5/5 ページ)
川上量生氏が運営責任者をしりぞき、新体制でスタートを切った動画サービスの「niconico」。“大荒れ”だった発表会の裏側や、これからのniconicoが目指す方向性について、新トップの栗田穣崇取締役が語った。
栗田 先ほどniconicoはマスだと言いましたけど、ニッチの集合体だと思っていて。自分の好きなものを自信を持って好きと言える人たちが集まる、居心地の良いコミュニティーにしたい。
そのためには、場がいくつもあることが重要だと思ってます。例えば、今のTwitterなどは(すぐ批判が飛んでくるので)発言しづらく息苦しいですよね。
── 17年4月の「ニコニコ超会議」では、Twitterへのアンチテーゼとしてのマストドンの可能性について語っていただきました。
栗田 マストドンはすごく温かい場所で、「friends.nico」を年末に見に行って癒やされました(笑)。
何でいまだに会社としてマストドンをやっているのとよく言われるんですが、コミュニティー運営ですごく良い経験をさせてもらっていて、niconicoの運営にも生かせると思ってます。今のネットで、なかなかああいうコミュニティーはないですよ(笑)。
── 具体的にどうやって居心地を良くしていきますか。
栗田 場所だけ作って放置だと、当然それは殺伐とした場になってしまいます。NGワードの監視もここ何年かで注力していますし、居心地が悪いと感じる要素を取り除きたい。
ただ、謝罪生放送では批判を受けるつもりでNGワードを「性的なもの」「電話番号などの個人情報」など最低限のものだけ設定していたのですが、その結果「1080p」がNGワードに引っ掛かってしまって(笑)。
── (笑)
栗田 NGワードの監視はAI(人工知能)と人力の両方でやっていて、だいぶ精度は上がってます。
── 今のniconicoはかなり多機能で全て改善するのは大変だと思いますが、どうバランスを取っていきますか。
栗田 一番要望をいただいている画質などの改善はちゃんとやっていきます。生放送は競合が多いので土台の部分を頑張らなきゃいけない。動画は後々資産になりますし、ニコニコ動画と言っているくらいなので、もちろん動画も大切にしていきます。
25日の生放送で改めて説明しますが、皆さんに認めてもらうには目に見える形で示さないといけない。ランキングやトップページ、生放送を回遊するクルーズ機能、ニコニコ大百科なども改良していきます。
「運営、良い仕事した」と言っていただけるよう頑張るので、見守っていてください。
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