コインチェックが580億円相当の仮想通貨を流出した問題が注目を集めている。コインチェックでは約26万人のユーザーへ日本円で返金する方針を発表したが、返金された場合に考えなければならないことがある。――確定申告だ。
国税庁では17年12月に、仮想通貨に関する所得の計算方法の「FAQ」を公開。仮想通貨の取引で生じた利益は原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要になるとしている。しかし、今回のような「流出による日本円での返金」は「所得」として確定申告が必要になるのだろうか。
国税庁個人課税課の担当者は「仮想通貨取引で生じた利益は原則雑所得だが、どのような目的で金銭が支払われるのかによっては、確定申告がいらなくなる可能性もある」と話す。
一方で「利益があれば課税されるという原則がある」とし、確定申告の有無やどういった形で課税されるのかについてはあくまで「コインチェックからの返金内容次第」。また、どういった内容で返金されるのか発表があったとしても「中身を精査する必要があり、すぐに『このケースはこうだ』と断定することはできないため、現時点ではお答えできない」とした。
とはいえ、例年2月〜3月に行う確定申告は「前年の1月1日〜12月31日までの1年間に生じた全ての所得に対して行うもの」。もし今すぐにコインチェックから返金があったとしても、確定申告を行うのは19年となり、約26万人のユーザーが、今すぐ準備をしなければならないわけではない。
国税庁の担当者も「確定申告が混乱しないよう、できるだけ対応をしていきたい」とコメントした。
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