“声で操作”が運転席を変える――CESで見えたミライのクルマ(3/3 ページ)
「CES 2018」でも年々存在感を増すコネクテッドカー。今年はもう1つのコネクテッド――“人とクルマをつなぐ”ボイスインタフェースやコックピット周りの新技術が注目を集めた。
最も注目を集めていたのはトヨタ自動車の「e-Palette Concept」かもしれない。プレスカンファレンスの壇上には豊田章男社長が自ら上がり、移動や物流、物販などのサービスに応用できる自動運転車のプロトタイプを発表した。
低床、箱型デザインとした大きなボックスタイプの電気自動車は、荷室ユニット数に応じて全長が4mから7mまで異なる計3サイズをそろえた。広々とした車内を自由に模様替えすれば、ライドシェアリング(相乗り)や簡易な移動型ショップ、ワーキングオフィスなどさまざまな用途に展開できるのが特徴だ。自動運転の車両制御に必要なアプリケーションを開発するためのインタフェース仕様(API)も、トヨタからパートナー各社に提供される。
CESで開催したプレスカンファレンスには、e-Palette Conceptの初期パートナーとしてAmazonやUber(ウーバー)、ピザハットなども駆け付けた。今後それぞれに得意なビジネス領域で、“自動運転に対応する電気自動車”の活用事例を具現化する方針で、技術パートナーとしてマツダの名前も並んでいた。
豊田社長は「今後は、2020年代前半にアメリカをはじめさまざまな地域でのサービスの実証実験を開始したい」と述べるとともに、20年にはe-Paletteの一部機能を搭載する車両を東京五輪・パラリンピックでデビューさせることも明らかにした。
同様に自動運転の技術をベースにして新しいビジネスの形を提案する試みでは、ハーマンがスイスのリンスピードと組んで展開する「SNAP」や、ヤマハが低速自動車のゴルフカートを活用した「パブリック・パーソナル・モビリティ」(PPM)の展示も熱い視線を浴びていた。
ヤマハの「パブリック・パーソナル・モビリティ(PPM)」のデモカー。底面には移動しながら路面の凹凸を記録するカメラとLEDを配置。路面の状態を記録、データベース化して、車両の走行位置や向きなどを自動制御する独自技術を組み込むことを想定している
自動運転技術やコネクテッドカーを機に続々と登場する最先端技術。次世代のクルマが、われわれの生活を一変させる時期は意外と近いのかもしれない。CESの会場には、そんな期待をさせる空気が充満していた。
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