「ピアノToy-Con」に至る任天堂音楽ソフトの歴史:立ちどまるよふりむくよ(3/3 ページ)
4月20日のNintendo Laboまで待てない人向けに、任天堂音楽ソフトのこれまでの流れをまとめてみた。
ピアノToy-Conをマスターしたら「KORG Gadget」
Nintendo LaboのピアノToy-ConでDTM、コンピュータを使った音楽制作に興味を持った子どもたち、大人たちはどうしたらいいのだろう?
iPhoneやiPadを持っていればGarageBandをオススメしたいところだが、もう1つ、最適と思われるものがある。KORG Gadget。そのSwitch版「KORG Gadget for Nintendo Switch」が今春リリースされる予定だ。
まだ発売日は明らかではないが、DS-10のときからKORGとの共同開発を手がけている、佐野電磁(sanodg)さん率いるDETUNEから「今春」登場予定。
KORG Gadgetは、地名を冠した様々な音楽ガジェットを組み合わせるDAW(音楽制作ソフト)。最初はiOS用にリリースされ、2017年にMacへの移植版が発売された。3つ目のプラットフォームとなったのがNintendo Switchというわけだ。Switch版では16個のガジェットが使える。
- Kingston:8ビットゲーム機の懐かしいサウンドを再現できるチップチューンシンセ
- Tokyo:キック、スネア、タム、パーカッションそれぞれに特化したパラメータをいじれるアナログドラムマシン
- Helsinki:アンビエント系のパッドに向いたポリフォニックシンセ
- Miami:ウォブルに使える凶悪なモジュレーションが可能なベースシンセ
- Kamata:旧ナムコの波形メモリ音源を忠実に再現したチップチューンシンセ
- London:ダンスミュージック用サンプラードラム音源
- Chicago:Roland TB-303を思わせるインタフェースのベースシンセ
- Marseille:スケールに沿ったコードを奏でるポリフォニックシンセで、ピアノ、ストリングスからメロトロンまで多彩な音色を持つ
- Berlin:シンクオシレーターを備えたモノフォニックシンセ
- Phoenix:Prophet-5っぽいリッチなサウンドが特徴なポリフォニックシンセ
- Amsterdam:オケヒットなどサウンドエフェクトを収録したPCM音源モジュールで、コードループにも使える
- Kiev:X-Yパッドによるモーフィングで音作りできるスペーシーなシンセ
- Wolfsburg:アナログシンセをサンプリングしたポリフォニックシンセだがモノにも使える「全部盛り」
- Chiang Mai:オシレーターの倍音を調整する特徴的な音源で、ベル系の音を得意とするポリフォニックシンセ
- Brussels:分厚いユニゾンリードを特徴としたモノフォニックシンセ
- Dublin:KORG MS-10/20直系のインタフェースでパッチも可能な2VCOのアナログモノシンセ
楽器に詳しい人ならば、これだけでインスト曲の音楽制作に必要な要素は網羅されていることに気づくはずだ。
Switch版がiOS版、Mac版と大きく異なるのは、操作は鍵盤や画面というよりも、Joy-Conで行うという点と、最大4プレーヤーまでの共同作業ができるというところ。佐野さんのYouTubeテストプレイでもその楽しさが伝わってくる。
だが限界もある。ジャイロが使えていくつかの物理キーがあるとはいっても、外部MIDIキーボードの有無は作業効率に大きく作用する。ましてや、この16個のガジェット楽器はいずれもおもちゃではなくプロレベルの品質を持つもの。やはり「鍵盤」はほしい。
いや、鍵盤ならあるではないか。ピアノToy-Conで作られた段ボールピアノが。KORG GadgetがNintendo Laboの鍵盤ドライバをサポートしてくれれば、本格的なDTMに至る道筋ができることになる。
Nintendo SwitchはBluetoothをサポートしており、Bluetooth MIDIをアプリ側で実装することも不可能ではないはずだ。KORGにはmicroKEY Airという、小型で廉価なMIDIキーボードがあり、もし実現すればBluetooth経由でKORG Gadgetの楽器をコントロールできる素晴らしい「楽器」となりそうだ。
ピアノToy-Conで波形を自分で切って体感したら、KORG Gadget「Kamata」の波形メモリ音源で自分で描くところまで一直線で行ける。ピアノロールを駆使できるようになっていれば、KORG Gadgetのインタフェースに戸惑うことは少ないだろう。
どうしても待ちきれないという人は、iOS版(4800円)を買って練習しておくといい。無料版の「KORG Gadget Le」も用意されている。もう、これでいいやと思うかもしれないが、Switch版にはアプリ内課金で1800円のKamanaが含まれるなど、コストパフォーマンスも高そうだ。
PSG音源、FM音源、波形メモリ音源、PCM音源へとゲーム機のサウンドは進化し、コントローラーは十字キーとABキーからタッチパネル、ジャイロ、IRカメラへと新しい技術を取り込んできた。
Nintendo Laboはそれなりに高い処理能力を持つNintendo Switchでこれらのハードウェアを動かしているわけだが、その背景には34年間、子どもたちの「最初の音楽づくり」を担ってきたソフトウェア開発の蓄積があるのだ、
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