NTTデータは3月20日、東京都三鷹市に新たなデータセンター「三鷹データセンターEAST」(以下、三鷹EAST)を竣工させたと発表した。4月1日にサービスを開始する。
三鷹EASTは既に開設している三鷹データセンターの隣地にあり、延べ床面積約2万6000平方メートル、約5600のサーバラックを収容する。今回の三鷹EASTの増設分を含め、三鷹データセンターは国内最大級(日本データセンター協会調査)の規模となる。
特徴は、通常のエンタープライズ向けの「シングルデッキ」に加え、AIやIoTなどの需要に備えた高負荷・高集積化(ラック当たり最大20kVA)対応の「ダブルデッキ」(約700ラック)があること。AIを活用した業務改革や新規ビジネスの創出などが増えていることから、このような環境を整えたという。
同社は三鷹EAST発表同日、企業のAI技術活用のためのコンサルティング、システム開発、システムインフラなどを一気通貫で提供するためのサービス「AI.Studio」(エイアイスタジオ)を4月から提供することも発表。企業の基幹系システムの誘致に意欲を見せる。
AI.Studioは、AIのビジネス活用をサポートするサービス。同社はこれまでもビッグデータ解析を行ってきたが、AIエンジンの選定などは個別対応にとどまっていた。それらのノウハウを1つのサービスで提供する。
キーワードは、(1)社内データとオープンデータを掛け合わせる「Multi Data Source」、(2)各社が用意しているエンジンを活用する「Multi AI Engine」、(3)機械学習APIやクラウドサービスと連携する「Multi Cloud」だ。「今、AIは導入期に入った。オープンデータや外部のAPIなどとも連携できる環境を整え、各企業が実際のビジネスに活用できるよう貢献する」(NTTデータ執行役員 ビジネスソリューション事業本部 佐々木裕部長)
次に、三鷹EASTの特徴を挙げながら建物の様子をレポートしたい。まずは外観から。この建物は見る方向によって全く異なる形をしている。南側からは、せり出した壁が特徴だ。これは、熱を持った空気を排出するための設計となっている。
北側の壁は、平面ではなく段が付いていることが分かるだろう。これは消音壁。住宅街の中に建てられているため、周りに配慮したという。東側には桜の木を植栽。まだ植えたばかりだが、2〜3年後には満開の桜が見られるようだ。
続いて中へ。特に印象的だったのが、強固なインフラ設備だ。大地震(震度6〜7)でも建物の損傷を最小限に抑える免震構造が施されており、万が一のときに備えて72時間連続運転可能な非常用発電機を用意している。内部はもちろん、外から見てもその様子は明らか。建物が地面と接していないことが分かる。
非常用発電機は、ディーゼルエンジンではなくガスタービンエンジンを採用。三鷹EASTで非常用発電機が4階にあるのは、ガスタービンエンジンを採用したことで冷却水が必要なく、排気のためには煙突を伸ばした方が効率がいいという理由からだ。
実はこのことを痛感したのは、2016年にJR博多駅前で大規模な道路陥没事故が起きたとき。そこから数百メートル先のところにデータセンターがあり、全て電気が止まってしまったときに水の確保が大変だったという。
冷却効率を上げるための施策としては、壁吹空調方式とホットアイルキャッピングを採用。ホットアイルキャッピングとは、サーバラックの背面側に不燃のビニールシートを取り付け、暖気を閉じ込める方法。その部分の天井に穴を開けることで、暖気が逃げていく仕組みだ。
壁にも工夫がある。サーバラックを移動する際などに傷を付けないよう、通常は壁を養生するが、その手間を省くためここでは傷が付きそうな場所やエレベーター内部の壁に銀色の加工が施されている。
数年後には1期棟と同規模の2期棟(シングルデッキ)も建設を予定している。
(太田智美)
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