ギターは顔で弾け、とよく言われる。ここぞというチョーキングビブラートで口をとがらせ首を左右に振り恍惚の表情をする。ギターを鳴らすのは指だけではないのだ。それを文字通り可能にしたのが、iOS版GarageBand 2.3.3だ。
どういうことか、説明しよう。3月28日に更新されたiOS版GarageBandバージョン2.3.3では、iPhone Xの切り欠き部分に配置されているTrueDepthカメラにより、ユーザーの表情を読み取り、その表情の変化によって楽器の音色をリアルタイムで変えることができるようになっているのだ。ARKitのフェイストラッキングが使われている。
GarageBandにはタッチインタフェースを使った内蔵楽器の演奏だけでなく、ギターやベースのアンプシミュレーションやエフェクター処理ができる、ストンプボックス機能がある。iRigなどのオーディオインタフェースをiPhoneやiPadにつなぎ、そこにギターを差し込めば、iPhoneをエフェクターボード代わりにできるのである。
では実際に顔の表情でワウペダルの音色を変えてみよう。まず、Tracksの楽器メニューからAMPを選び、アンプシミュレーションのトラックを作成する。次にアンプとエフェクターの組み合わせ「Retro Wah」を選択。ほかにもワウペダルが使える音色はいくつかあるが、「Wah」と名付けられている音色ならワウペダルが入っているはずだ。この音色に含まれるModern Wahというエフェクターは今回のアップデートで初めて入った。これまではオートワウしかなかったのだ。
音叉アイコンの左にある「顔」アイコン。これがTrueDepthカメラによる表情検出ボタンだ。このボタンを押してしばらくするとアイコン周囲の枠が取れて目と口だけになる。これで自分の顔とワウワウペダルの音色が連動したことになる。口を大きく開けるとペダルが踏み込まれ、閉じると戻る。ビートに合わせて口をパクパクしながら弾くと、チャカポコチャカポコと、ワウワウっぽい、ファンキーなサウンドになるのだ。
iRigなどがない人は、ギターカッティングのループを読み込んで、それを再生しながら口パクしてみても楽しめるだろう。ただ、スマートギターでもModern Wahとマウスワウができるとうれしい。
フェイストラッキングによる音色変化は、一部のシンセサイザーでも使える。
Alchemyシンセサイザーの場合は、顔アイコンの左に、ジャイロで音色コントロールするボタンがついている。顔かジャイロか、どちらもなしかを選ぶようになっている。
GarageBandを使うならiPhone X。そんな時代がようやくやってきた。
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