「炎上」対策会社をネットウォッチャーが立ち上げた理由
ネット炎上を防ぐためにはネットリテラシーが必要。「半年ROMれ」を手助けする会社が設立された。代表はあのネットウォッチャーだ。
2018年4月1日、新会社「MiTERU」の設立案内が届いた。「炎上したくない」というニーズに応える会社だという。代表取締役はネットウォッチャーとして知られる、おおつねまさふみさん。アルファブックマーカーotsune、「おちゅーん」のニックネームで知られるネット有名人だ。otsune伝説なるものまである。「ウォッチャーだから"見てる"なのか。しゃれてるけどエイプリルフールとしてはどうよ」と疑問だったのだが、どうも本気の発表だという。
おおつねさんと公私ともにパートナーである東智美さん(自身の会社、トーモでiPhone用人気ケースRAKUNIをヒットさせており、cheeroのDANBOバッテリーの発案者でもある)、元AppBankのCFOだった廣瀬光伸さんという新会社の中心メンバー3人に設立の意図を聞いた。
「簡単に説明すると、"半年ROMれ"をすぐにお手伝いしますということです」とおおつねさん。ネットウォッチャーとして長年、ネット上での騒ぎを見つめてきた彼は「やっちゃいけないこと、言ってはいけないこと、こういうスタンスで発言すると応援してくれる」ということが分かってきたという。
だが企業担当者は半年も待てない。これまでネットを上手に運営してきた企業サイトが、担当者が辞めたとたんにうまくいかなくなったり、更新が止まったりすることがたびたびあったが、それは担当者個人の才覚に頼っていたためで、そのノウハウ、ネットリテラシーが体系だって共有されていなかったのだとおおつねさんは指摘する。「半年ROMれ」をゼロに短縮はできないけど、学ぶためのお手伝いはしましょう、ということだ。「本当は半年ROMってほしいんですけど」
おおつねさんはこれまでウォッチャーとして炎上を楽しんでいるだけのように思う人もいるかもしれないが、実は炎上した事件の裏で、それが延焼しないように動いていたことが何件もある。トーモのデザインがAppBankに盗用され炎上したことがあったが、AppBankとの間で事態収拾に動いていたのがおおつねさんで、AppBank側に対応のアドバイスもしていたという。その当時AppBank側で対応していた1人が廣瀬さんだ。
これまでおおつねさんたちの交際範囲内でやってきた炎上へのアドバイスを、事業化しようと立ち上げたのがMiTERU。同社では炎上対策、リスク分析アドバイス、ソーシャルメディア対策、Webサービスコンサルタントを主な事業内容としているが、具体的な料金プランなどはまだ決まっていない。廣瀬さんは、「ネットにおけるいろんな相談を受ける、ネットリテラシー専門の弁護士みたいなもの」と位置付け、月額や案件ベースでの相談を受ける形を考えている。
「ネットをどう使いこなし、発信していくか、どう効果的に伝えるべきかを考えたときに、いろんな事件・炎上を見てきた、全ての要素に共通項を持った2人に可能性を見出した」と廣瀬さんは意気込む。
会社を立ち上げてから新たな賛同者も得た。
相談役として加わった竹中功さんは、吉本興業で芸人たちの謝罪会見、リスクマネジメントを長年引き受けきた「謝罪マスター」。謝り続けるのは嫌なので回避のノウハウがたまったという、リアルの世界でトップクラスの炎上対策経験者だ。
炎上対策だけでなく、地雷回避、奇策も駆使するというMiTERU。SNSへの取り組みが必須となっている現在の企業活動にとって、彼らのノウハウは重要なものとなりそうだ。
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