開設からわずか2週間でユーザー数が3万人を超えたマストドン(Mastodon)のインスタンスがある。2017年4月のマストドン急成長期以外では見られなかった伸びが単一のインスタンスで起きたのには理由がある。
マストドンの最新版であるバージョン2.3.3で稼働している「Switter」はエスコートサービスを中心としたセックスワーカー(性産業従事者)のためのSNSなのだ。instance.socialのインスタンスランキングでは全世界で6位のユーザー数に達している。
Switterにいるユーザーのこれまでの活動場所は米国でポピュラーなリスティングサービスCraigslistやBackpageだったが、どちらも活動できない状況に陥っている。さらにトランプ政権が推進しているFOSTA/SESTA法案によりSNSから締め出されることが判明。同法案は性的人身売買を禁止することが目的とされるが、オンラインコミュニティーにおける言論の自由も奪うものだとして反対運動が起きている。Switterインスタンスは合法的にこの種のコンテンツを配信できるオーストリア(.atドメイン)に置かれているため、FOSTA/SESTA法案を逃れられるとしている。母体となっている企業、Assembly Fourはオーストラリアの会社だ。
この件についてはBuzzFeedとThe Vergeなどが詳しく報じている。
米国のテック系メディアでは昨年4月以降、マストドンに関する報道はほとんどなかったが、これを機会に再度注目されるかもしれない。
Switterはマストドンのハッシュタグを利用したリスティングと検索サービスを提供している。NSFW(閲覧注意)タグもうまく活用している。マストドン開発者のオイゲン・ロチコさんはSwitter管理者のJさんと技術的な問題で頻繁にやり取りをしている。
ちなみにPawooのロリ絵が問題になり、オイゲンさんとpixiv技術者がやり取りしながら解決に至ったのは昨年4月中旬のことだ。
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