タイヤ破裂を未然に防ぐ ミシュラン、IoT活用のタイヤ管理システム発表 大型車の輸送効率低下に歯止め
日本ミシュランタイヤが、IoTを活用したトラック・バスのタイヤ管理システムを発表した。
日本ミシュランタイヤとソフトバンクは4月26日、IoTを活用したトラック、バスのタイヤ管理システム「ミシュランTPMS クラウドサービス」を6月1日から提供すると発表した。管理者が複数台のタイヤ空気圧や内部温度をクラウド上で一括監視したり、メールで異常通知を受け取ったりできる。事故やトラブルの防止に役立てられるという。1台あたりの想定価格は、通信費が月額980円、通信機器とセンサー一式が2年リースで月額9200円(全て税別)。
タイヤホイールにセンサーを取り付けて空気圧と内部温度を監視し、異常を検知すると警報を各所に通知するシステム。タイヤの状況を監視する「TPMS」(タイヤプレッシャーモニタリングシステム)と、クラウドサービスを組み合わせた。
データ取得の流れはこうだ。トラックやバスのタイヤホイールに、電池の入ったセンサー(消耗品)を取り付ける。センサーが取得したデータを車内の受信機にワイヤレスで送信し、ドライバーは運転席に設置したモニターで確認できる。同時にソフトバンクのモバイルネットワーク経由で10分に1回、データをクラウドに送信する。タイヤの異常を検知すると、運送会社の運行管理者、タイヤ販売店、ミシュランのレスキューサービスに車両の位置情報とタイヤの状況がメールで届く。
業界が抱える課題は「輸送効率の低下」
日本ミシュランタイヤがこのサービスを提供するのは、自社で展開するタイヤ商品「X One」を市場に広げる狙いがある。トラックやバスなどの大型車は、後輪のタイヤを2本並べる「ダブルタイヤ」という形態を採用している。一方、同社のX Oneは、タイヤ2本分の幅を持つ「シングルワイドタイヤ」形態が特徴。ダブルタイヤに比べて約100キロ軽量で走行性や燃費の向上が見込める他、全体の最大積載量を増やせることで輸送効率の向上につながるという。
しかし、デメリットもある。タイヤがバースト(破裂)した際に、ダブルタイヤであればもう1本のタイヤを使って多少の走行を続けることができるが、シングルワイドタイヤでは全く走行できなくなる。運送事業者はこの点に不安を感じているという。
日本ミシュランタイヤの高橋敬明さん(B2Bタイヤ事業部 執行役員)は、「輸送効率の低下」が業界全体の課題であると同時に、シングルワイドタイヤでも本システムで不安を解消できると話す。
「EC市場の急成長により、時間指定や即日配達といった過剰サービスが配送効率の低下を招いている。さらに運送事業者はドライバーが働きやすい環境作りの一環で、最新装備を備えた最新車両を導入しているが、その装備の重量によって最大積載量も減っている」
「タイヤのパンク要因の多くは、空気圧が徐々に抜けて温度が上昇し、バーストしてしまう『スローパンクチャー』と呼ばれるもの。空気圧と温度を監視することで、シングルワイドタイヤでも未然に大きなトラブルを避けられる」(高橋さん)
同社は、2018年度中に300台の導入を目指すという。
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