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KDDIがスマートグラス開発へ 米国企業と共同 「時間と空間を超える体験」目指す

KDDIが、米Osterhout Design GroupとVR/AR技術を活用したスマートグラスを企画・開発する。6月以降、日本国内で実証実験を行い、実用化を目指す。

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 KDDIは4月26日、ウェアラブル端末メーカーの米Osterhout Design Group(ODG)と、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)技術などを活用した眼鏡型端末(スマートグラス)の企画・開発を行うと発表した。6月以降、日本国内で実証実験を行い、実用化を目指す。「時間と空間を超える体験の創出に取り組む」(同社)

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 ODG製のスマートグラス「R-9」をベースに、日本人が着用しやすいデザインへカスタマイズし、国内で実証実験を行う。米Qualcomm製の「Snapdragon 835」を搭載し、ユーザーの動きへの追随にも対応したAR/VRアプリケーションを使える。50度の視野角に加え、地図作成(SLAM)技術や、高画質なビデオ視聴にも対応する。

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ODGが開発したスマートグラス「R-9」

 今夏には日本航空(JAL)と連携し、羽田空港国際線ターミナルの「サクララウンジ・スカイビュー」で、希望者にスマートグラスを貸し出して映像コンテンツを楽しんでもらう実証実験を予定している。

 開発したスマートグラスは、まず法人向けに提供する。遠隔から指示する内容を、着用した人がスマートグラス越しに見えるようにし、現場作業の精度向上や効率化につなげる。その後、コンシューマー向けにも幅広く展開する考え。

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ODGのピート・ジェームソンCOO(最高執行責任者)

 さらに、現時点で搭載しているWi-Fi通信機能に加え、スマートグラスでセルラー通信が可能になるモデム機能も検討する。ODGのピート・ジェームソンCOO(最高執行責任者)は「ODGのビジョンは、スマートグラスが次のモバイルプラットフォームになること。KDDIとのパートナーシップは、その第一歩だ」と意気込む。

 KDDIの山田靖久氏(理事 商品・CS副統括本部長)は、スマートグラスがスマートフォンを代替するかについて、「すぐにリプレースすることはあり得ないと思っている」と慎重な姿勢だ。しかし「ユーザーのインタフェースは多様化している。スマートグラスは、5G(第5世代移動通信方式)時代に高い可能性を持つデバイスだと考え、気合いを入れて取り組んでいる」と意欲的だ。

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KDDIの山田靖久氏(理事 商品・CS副統括本部長)

 KDDIの新社長、高橋誠氏は4月5日の就任会見で、AR/VRサービスを強化する方針を示していた。同社は強みである通信サービスと合わせ、体験型サービスも提供し、顧客を取り込む。スマートグラス開発もその1つだ。

 スマートグラス以外のxR(AR/VR/MR:複合現実などの総称)の取り組みでは、バーチャルキャラクターを活用した実証実験などを、パートナー企業や自治体と行う。現時点ではクリプトン・フューチャー・メディア、フィールズグループ、パソナテック、長野県飯田市が協力する予定だ。既にクリプトン・フューチャー・メディアとは、スマホをかざすと、現実世界に初音ミクが現れて一緒に散歩できるARサービス「ミク☆さんぽ」を提供した例がある。

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パートナーとのxRの取り組み

 「人々の生活を楽しくすることが、お客さまの新たな体験価値になると考えている。パートナー企業との協業、共創で技術革新を促し、価値を生み出していく。xRでワクワクを提案したい」(山田氏)

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