ドライバーの声で感情を認識 雑音環境でも使えるAI ドコモらが開発
NTTドコモと感情認識AI開発のEmpathが、ドライバーの声で感情を認識するAIを開発。雑音環境でも音声認識できるのが特徴だ。
NTTドコモとEmpath(東京都渋谷区)は5月8日、雑音環境でも音声で感情認識できる技術を共同開発したと発表した。クルマの走行中、ドライバーの声から感情を認識する実験に共同で取り組んでおり、2018年中にドコモが提供する自動車向けの音声エージェントサービスへの導入を目指すという。居眠り運転の防止などに役立てる狙い。
ドコモの音声感情認識技術とEmpathの音声感情解析AI(人工知能)技術を基に開発。走行雑音がある環境でも、ドライバーの音声を検知し、感情を認識できるという。
まず、ドライバーの声から声の高さや音色などの音響的特徴を分析。事前に機械学習で生成しておいた感情認識モデルを使い、「怒り」「喜び」「悲しみ」のどの感情に当てはまるかを推定する。
認識モデルには、走行時の自動車のエンジン音などの特徴も取り入れており、雑音の小さい停車時と、雑音の大きい高速道路走行時の条件で実証実験をしたところ、感情の平均正答率は75%に達したという。
ドライバーの感情を認識したAIが発話する実証実験も実施。実験では、ドライバーの眠気やだるさなどの倦怠(けんたい)感を表す指標値が50%減少し、被験者の93%が「AIが自分の気持ちに寄り添ってくれている」と感じたという。
実験では、運転時の環境を再現したシミュレーターに音声エージェントアプリを設置。ドライバーの感情に合わせてAIが対話スクリプトを用意し、声掛けの前後でドライバーの感情がどう変化するかを計測したという。対話スクリプトは、精神科医、臨床心理士監修のもと、ポジティブ心理学や認知行動療法のメソッドを採用した。
ドコモは「楽しい気分の持続や悲しい気分の低下」も確認できたとし、クルマに愛着を持った楽しい運転や、居眠り運転の解消などに貢献できるとしている。
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