“5Gの5倍” 100Gbpsの無線伝送、NTTが「OAM多重」で実現
NTTがOAM(Orbital Angular Momentum)多重を活用して世界初となる100Gbpsの無線伝送に成功したと発表した。LTEやWi-Fiのおよそ100倍、5Gの5倍にあたる次世代の無線通信技術だ。
NTTは5月15日、OAM(Orbital Angular Momentum)多重を活用して世界初となる100Gbpsの無線伝送に成功したと発表した。現在のLTEやWi-Fiのおよそ100倍、今後普及が見込まれる5Gの5倍に当たる「5Gの次世代を実現する革新的無線通信技術」(同社)という。
OAMは日本語で「軌道角運動量」。進行方向に対して螺旋(らせん)形状になる電波の“回転度合い”を示す。回転度合いの異なる電波は互いに交わらず、平行して進む特徴があるため、複数の電波を重ね合わせて通信容量を増やすOAM多重の研究が各所で進められている。例えば米国の南カリフォルニア大学は2016年にミリ波帯の60GHz帯を用いて32Gbpsの伝送を実験した。
NTTは、近年広く普及したMIMO(Multiple Input Multiple Output:送信機と受信機の双方に複数のアンテナを用い、通信品質を向上させる無線信号処理技術)を組み合わせ、複数のOAM多重伝送を同時に行える送受信装置を試作。実験室で28GHz帯を使った実験を行い、11の電波を重ねて100Gbpsを実現したという。
今後は28GHz帯の屋外実験を実施するほか、より高速な無線通信が可能なミリ波帯での実験も計画している。将来は「光ファイバーの敷設が難しい場所でも大容量通信が利用できる他、スポーツやコンサートでの非圧縮8Kや16Kリアルタイム中継も可能になる」としている。
NTTは5月23〜25日に開催される専門展示会「ワイヤレステクノロジーパーク2018」(WTP2018、東京ビッグサイト)で同技術を展示発表する。また6月3〜6日に米国で開催されるIEEE主催の国際会議「VTC2018-Spring」で発表を行う予定だ。
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