楽天、8000以上のAPIが試せる「Rakuten RapidAPI」開始 ソフト開発を加速
楽天がアプリ開発者向けにAPIの検索や購入が行えるマーケットプレイス「RapidAPI」の提供を開始した。米R Softwareとパートナーシップを締結し、日本を皮切りにアジア地域へ展開予定。
楽天は7月11日、開発者向けに8000以上のAPIの検索、検証、購入が行えるマーケットプレイス「Rakuten RapidAPI」を開始した。APIマーケットプレイス「RapidAPI」を提供する米国企業・R Softwareと戦略パートナーシップを締結し、日本を皮切りにアジア地域へ展開するという。楽天の平井康文副社長は「APIを多くの開発者に紹介したいAPIプロバイダーと、サービスに必要なAPIを組み合わせてアプリを開発したい開発者の間にビジネスチャンスがあるのではないか」と話す。
RapidAPIは世界で50万人以上の開発者が利用するAPIマーケットプレイス。企業や団体、公的機関などが掲載したAPIをカテゴリやキーワードから検索して試すことができる。RapidAPIからAPIの購入も可能。またプログラミング言語にかかわらず、RapidAPI内のすべてのAPIに接続できるSDK「Rakuten RapidAPI SDK」を用意。呼び出しとデータの受け取りを1つの標準的な形式で行えるという。
Rakuten RapidAPIでは、こうしたサービスを日本の開発者向けにローカライズして提供する。英語と日本語に対応し、各APIの料金には日本円換算の金額を併記するなど利便性を高めているという。RapidAPIで提供しているAPIに加え、楽天が持つ450のAPIや日本で開発されたAPIも順次追加する見込み。
なぜAPIマーケットプレイスが必要なのか
R Softwareの創始者でCEOのIddo Gino(イド・ジノ)氏は「紙の地図がGoogleマップに、ショッピングセンターが楽天市場になったようにソフトウェアによって世界は変わってきたが、ソフトウェアの開発は依然として困難だ」と話す。
「ソフトに必要なコンポーネント(部品)を1つ1つゼロから開発するのは難しく、時間やコストがかかる。開発が済んだとしても保守運用も困難だ。しかし、APIを使えば何カ月もかけてソフトを開発しなくてもよく、費用対効果も高い。開発を早く進められるだけでなく、より良いものを作れるようになる」(イド氏)
さまざまなAPIをマーケットプレイスという形でまとめて開発者に提供することで、アプリ開発をサポートすることができるという。「複数のAPIを同じデータフォーマットやSDKで接続でき、それぞれのAPIがどんな機能を持っていて、どのように接続すればいいかを1つ1つ学ぶ必要もない。接続したAPIを継続的にモニタリングすることもできる」(イド氏)
APIプロバイダーのメリット
また楽天の平井康文副社長は「たくさんの人にAPIを紹介して利用状況を可視化したいAPIプロバイダーと、必要なAPIを組み合わせてアプリを開発したい開発者の間にビジネスチャンスがあるのではないか」と話す。
プロバイダーにも、マーケットプレイスを通して自社のAPIを世界中の開発者へ提供できるというメリットがある。プロバイダー用のダッシュボードからは、ユーザーが利用しているエンドポイントやどのプランが人気なのかといった情報も確認できるという。
APIの掲載は無料で、料金もプロバイダ自身で設定可能。楽天は20%を目安にプロバイダーごとに定めた手数料を回収し、収益化するとしている。
日本からアジア諸国に展開
2018年はまず日本での展開に注力し、その後は英語を使用するアジア諸国に拡大する見込み。2022年までにRakuten RapidAPIを利用するアプリ開発者を70万人以上にすることを目指す。
なお、今回締結した楽天とR Softwareのパートナーシップは日本と、オーストラリアとニュージーランドを含むアジア圏に限ったもので、RapidAPIは従来通りサービスの提供を続けるとしている。
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