もしかして「日本人に一番近いAI」になる? LINE「Clova」のココに注目:体当たりッ!スマート家電事始め(3/4 ページ)
LINEは6月、ディスプレイ付きスマートスピーカー「Clova Desk」に車載向けAIプラットフォームなど「Clova」のこれからに向けた数々の施策を発表した。今後、「Clova」は何を目指すのか。同社のキーパーソン達に展望を聞いた。
LINEからもスクリーン付きスマートスピーカー「Clova Desk」登場
Clovaの取り組みについて、目線を少し直近に戻して今冬に発売を予定しているスクリーン付きのスマートスピーカー「Clova Desk」のことを舛田氏に聞いてみよう。
本機は7インチのタッチパネル液晶や画像認識ができるカメラ、IRリモコンにバッテリーなどを搭載している。先日Amazon.co.jpが発売した「Amazon Echo Spot」や、Googleが海外から販売を始めたスクリーン付きの“スマートディスプレイ”と競合しそうな商品だ。LINEが本機の商品化を決めた背景には“音声のみ”でコミュニケーションするスマートスピーカーのユーザーから寄せられたフィードバックがあったのだろうか。
「例えばスキルを開発していただいているパートナーからも、そもそも最近はスマホ向けに音声だけでなく視覚情報でも表現できるコンテンツを作ってきたので、スクリーン付きのスマートスピーカーは歓迎であるという声をいただいています。当然、スクリーンがあることによる向き不向きもあります。例えば音は“軽い”ので、家のどこにいても情報が入ってくるメリットが得られます。でも、音声だけでは例えば“比較する”ことが難しかったり、長いセンテンスが頭に入ってこないこともあります。そこはスクリーンの出番ではないでしょうか」(舛田氏)
筆者も自宅でAmazon Echo Spotを使い始め、とりわけショッピングにはスクリーンがあることがとても有効であることが分かってきた。音声のみのスマートスピーカーと体験が切り分けられた、それぞれに便利なスキルが多くのパートナーからClova Desk向けに提供されてほしいと思う。
スマート家電連携はこれからが本番
スマートスピーカーが発売された当初は、家の中にあるさまざまな家電機器のリモコンとして使えるデバイスになると注目を浴びていたものだが、日本国内ではまだスマートスピーカーや音声で動かせる家電機器があまり多くはないのが現状だ。理由はインターネットに接続できて、クラウド経由で操作できるサービスに各社の対応が追い付いていないからだ。
その点、Clova WAVEは赤外線リモコン機能を持っているので、発売当時からテレビやエアコンを赤外線信号を使って“スマート家電風”にコントロールできるのが特徴だ。いま家電量販店のスマートスピーカー売り場をチェックしてみると、同じように赤外線信号で家の中にあるさまざまな家電を操作できる「スマートリモコン」が好評のようだ。
品ぞろえや利用シーンは各家庭によって大きく異なる家電の操作がなるべく便利に行えるようにClova WAVEでは赤外線コントロール機能が採用された。これが本機の大きな特徴としても人気を獲得したことから、赤外線リモコン機能を持たないClova Friendsに機能を後付けできる「Clova Friends Dock」も今夏に発売する予定だ。
舛田氏は、LINEでもClovaシリーズの開発を始めた当初から、スマート家電やIoTデバイスをリモコン操作できることをスマートスピーカーの本質的な魅力の1つとして位置付けていたと振り返る。その上で、家の中でスマートスピーカーを経由して家電をコントロールする方法と、スマートスピーカーとは別にテレビやエアコン、冷蔵庫などに音声アシスタントをビルトインする方法の2つを同時に検討してきたという。
舛田氏は、いまスマート家電に対する国内メーカーの姿勢が以前よりも格段にポジティブになってきたと感じているようだ。「おそらく1、2年前にはうまくいかなかったであろうことが、実際にさまざまな家電・デバイスメーカーとディスカッションをしていると、皆さまが今後の重要なテーマとして真剣に向き合っていると感じています。全ての物事はタイミングが重要で、今まさに良い流れが来ています。私たちも可能な限り多くの家電やIoTデバイスをClovaで操作できるようにするための準備を進めていきます」
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