もしかして「日本人に一番近いAI」になる? LINE「Clova」のココに注目:体当たりッ!スマート家電事始め(4/4 ページ)
LINEは6月、ディスプレイ付きスマートスピーカー「Clova Desk」に車載向けAIプラットフォームなど「Clova」のこれからに向けた数々の施策を発表した。今後、「Clova」は何を目指すのか。同社のキーパーソン達に展望を聞いた。
「Clova Auto」は日本のドライバーに最も使いやすい車載AIになるのか
LINEは今年のプレスカンファレンスで車載向けAIプラットフォーム「Clova Auto」に関する重要な発表も行った。LINEはトヨタ自動車とFordが中心になって発足したSmart Device Linkコンソーシアムのパートナー企業として、自動車向けのAIアシスタント開発にこれまでも注力し続けてきたが、このほど車載向けのAIプラットフォームの名前が正式に「Clova Auto」となることが発表され、さらに2018年冬に発売されるトヨタの新型車に搭載、利用できることが明らかになった。
ドライブ中にClovaを呼び出して、音声コマンドによるLINEの送受信やLINE MUSICの楽曲検索と再生、目的地の天気情報を調べたり、またクルマにいながら家の照明器具のオン・オフも操作できるようになるらしい。視線や手元を運転することに集中しながら、車載機器をハンズフリーで操作できるようになる音声インタフェースとの相性の良さは以前から指摘されてきたことだが、今後自動運転に関連する技術やサービスが賑わってくるほど「クルマとAI」の関係もさらに深まっていくに違いない。LINEが国内最大手の自動車メーカーであるトヨタと組み、このタイミングで具体的な発表を行ったことには大きな意義がある。あらためて「Clova Auto」を立ち上げた背景を舛田氏に尋ねた。
「自動車の中はスマホの世界から見れば少し距離が離れている領域でした。だからLINEとしてそこの生活に対するサポートが今まで不足していました。あるいは自動車から生まれるさまざまなデータにアクセスできていなかったこともあって、これから自動車という生活空間に対して積極的に乗り込んでいきたいと考えています。運転中はハンドルを握っているものなので、その状況下でスマートサービスを安全に使ってもらうためには音声操作がベストであり、明確なニーズも見えています。特に日本の高い安全運転基準を満たすためには、ハイレベルな車載向けAIプラットフォームの開発が必要です。トヨタとLINE、日本に拠点を置く両社が昨年からパートナーシップを組むことになったのは日本のドライバーに必要なAIプラットフォームを実現するためです」(舛田氏)
今回のプレスカンファレンスはトヨタとLINEにとってまだ「はじめの一歩」にすぎないという。これからまだいろいろなサービスや取り組みが双方から発表されることになりそうだ。
LINEではまた、クルマの中の垣根を超えて、ホーム(=スマートスピーカー)とモバイル(=スマホやウェアラブルデバイス)とつながるコネクテッドなAIプラットフォームの大きな構想を描いている。「大事なのはClovaがクラウドにあり、ユーザー固有のLINE IDに結びついてさまざまなサービスを提供できる環境ができていること」と舛田氏は強調する。
「例えばクルマの中でユーザーが体験したことをClovaが学習して、家の中やスマホを持って出掛ける屋外にいながら情報として共有して、ユーザー単位で積み重ねていくことができれば本当のパーソナライズドされたAIプラットフォームによる価値が提供できるのではないでしょうか。これからのClovaが目標にすべきことの1つと捉えています」(舛田氏)
春にはClovaと連携してLINEの送受信が音声で行える完全ワイヤレスイヤフォン「Xperia Ear Duo」がソニーモバイルから発売された。今後、おそらくウェアラブルタイプのClova搭載機器も増えてくるだろう。日本人の感覚に合わせた高機能で使いやすいAIプラットフォームを目指すClovaが今後どのように育っていくのか、今後にも期待できそうだ。
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