Googleの従業員、中国での“検閲版”検索サービス「Dragonfly」反対署名運動
Googleが中国での“検閲版”検索サービスを秘密裏に進めているという報道を受け、同社従業員が幹部の倫理を問う署名運動を展開。1400人以上が署名したとNew York Timesが報じた。
米Googleが中国で検索サービス再開プロジェクト「Dragonfly(コードネーム)」を秘密裏に進めているという8月1日の報道を受け、同社従業員がこのプロジェクトに反対する署名を集めていると、米New York Timesが8月16日(現地時間)、入手した幹部宛書簡と匿名の従業員の話に基づいて報じた。
Dragonflyは、2017年春に立ち上げられ、12月にスンダー・ピチャイCEOの訪中の際、中国政府と会談してから加速したプロジェクトといわれる。中国のいわゆる「グレートファイアウォール」に対応するため、中国政府の検閲済みの検索結果しか表示されないという。
New York Timesによると、既に1400人以上の従業員が幹部宛の書簡に署名したという。この書簡の出だしは「Googler(Google従業員)は倫理的な選択をするために、自分たちが何を構築しているかを知る必要がある。今現在、われわれは知らないことがある。そこで文末に署名したわれわれは、Googleの倫理および透明性についてのコードイエローを要請する」となっている。
コードイエローとは、医療業界ではスタットコールの1つで、緊急事態発生などを知らせるもの。Google社内では、複数のチームに影響する危機的な問題発生に対処するためのプロセスを指し、担当幹部による説明も含まれる。
Googleでは毎週木曜日にスタッフミーティングを開催しており、そこでの質問リクエストは社内サービス「Dory」に登録されるようになっている。水曜の時点で「Googleは倫理の羅針盤を失ったのか?」という質問が多かったという。
Googleは6月には、米国防総省(DoD)にAI技術を提供する契約「Project Maven」について、従業員からの批判の高まりを受け、契約を更新しないと約束した。
関連記事
- Google、中国でグレートファイアウォール対応検索サービス「Dragonfly(コード名)」を準備中か
中国政府の検閲に反発し、事実上中国本土での検索サービス提供を停止していたGoogleが、中国政府による検閲・フィルタリングに準拠した検索アプリを早ければ半年後に提供するとThe Independetが報じた。 - Google、中国ネット通販大手JD.com(京東商場)に5億5000万ドル出資
Googleが中国ネット通販大手のJD.comに5億5000万ドル(約610億円)を出資し、クラスA株式2700万株を取得する。GoogleはJD.comの技術をサポートし、JD.comはGoogleショッピングで市場を拡大する。 - Google、「AIの倫理原則」を公開 武器など人に危害を加える利用はしないと約束
米国防総省とのAI技術関連契約で社内外から批判されているGoogleが、AIに関する倫理原則を発表した。武器など人に危害を与える技術にAIを使わないとしており、ピチャイCEOは「これはコンセプトではなく具体的な基準だ」と語った。 - Google、中国の北京にアジア初のAIラボを開設
Googleが、アジア初のAI(人工知能)ラボを中国の北京に開設した。ラボを統括するフェイ・フェイ・リー博士は「AIに国境はない」と語る。 - Google、中国版サービスを事実上停止――営業拠点は維持
Google.cnへの訪問者を無検閲の香港版Googleに転送するという形で中国版Googleの自主検閲を撤廃した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.