Google、データセンター冷却システムをほぼAI制御に 平均30%の省エネ効果
Googleは自社データセンターの冷却システムで2016年からAIを採用しており、現在はAIが対策をアドバイスするだけでなくシステムの制御も担っている。利用開始から約9カ月で、平均30%の省エネ効果が上がったとしている。
米Googleとその系列人工知能企業DeepMindは8月17日(現地時間)、自社のデータセンターにおけるAI(人工知能)採用の進捗について説明した。
同社は2016年、データセンターの冷却システムにAIを採用した結果、電力を約40%削減できたと発表した。
だがこの段階では、AIは対策を推奨するだけで、そのアドバイス通りに実行するのはかなり手間がかかるとデータセンターのオペレーターからのフィードバックがあった。そこでDeepMindはアドバイスではなく、AIが直接冷却システムを制御できるよう改良したという。
まだ利用を開始してから数カ月しかたっていないが、既に平均して約30%の省電力化を実現した。学習データが増えるほどシステムは向上することから、今後省電力化はさらに進むと同社はみている。
大まかな仕組みは、クラウドベースのAIが、データセンター内の冷却システムに設置した数千個のセンサーから5分ごとにスナップショットを収集しそれをDeepMindのディープニューラルネットワークに送り、ディープニューラルネットワークが最適解を決めてデータセンターに送る。この決定はデータセンター側の制御システムで確認されてから実装される。
AIはデータから10億もの解決策候補を編み出すが、信頼性を算出し、信頼性が低いと判断した解決策は排除する。
また、安全性のため、実装までに2段階の確認作業を組み込んでいる。AIが選んだ最適解は、データセンターのオペレーターが定義した安全上の制約リストに照らし合わされ、さらにローカルの制御システムもこの解を検証する。さらに、データセンターのオペレーターはいつでもAI制御モードを解除できるようになっている。
GoogleとDeepMindは、「データセンターは始まりにすぎない。この技術は他の状況でも利用できる可能性を持っている」としている。
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