人気アプリの地図に不正な地名、ニューヨークが「Jewtropolis」に:ユダヤ人差別のヘイトスピーチか
Snapchatなどの人気アプリに表示された地図では、ニューヨーク市の地名がユダヤ人差別的な「Jewtropolis」と書き換えられていた。
位置情報サービスの米新興企業Mapboxは8月31日、同社が配信している地図の情報が何者かに改ざんされ、米ニューヨーク市の地名が不正に書き換えられていたことを明らかにした。これに先立ちSnapchatなどの人気アプリでは、ニューヨーク市の地名がユダヤ人差別的な「Jewtropolis」と表示されるという報告が相次いでいた。
Mapboxはソフトバンクも出資する新興企業。Snapchatのほか天気予報アプリや旅行情報アプリなど多数のアプリに地図情報を配信している。今回改ざんされた地名については1時間以内に削除したと述べ、「悪意をもった編集は、他にも複数の憎悪編集を試みた者によって行われた」と説明。他の試みは成功しなかったことを確認したとしている。
同社の地図は、1億3000万以上のデータセットから構成されており、1日当たり7万回を超す地図の変更はAIと人による検証を行っているという。「今回の問題は即座にAIで検出されたが、手作業による検証の過程で人為的なミスが起きた」と同社は説明している。
今回の問題について、「地図のWikipedia」とも呼ばれるフリーの地理情報データ作成プロジェクト「OpenStreetMap(OSM)」は同日、ニューヨークの地名改ざんはOSMの地図編集プロジェクトに原因があったことを確認した。
OSMによると、改ざんを行った人物は今後OpenStreetMapに貢献できないようにする措置を講じたという。実際には改ざんは1カ月前に行われていたが、Mapboxを通じて数千のアプリやWebサイトに配信されたことによって、問題が発覚した。
OSMの地図編集はWikiスタイルで誰でも自由に参加でき、変更された内容のモニタもコミュニティーで行っている。「圧倒的多数の編集者は力を合わせて素晴らしいものを構築したいと思っており、その数は少数の腐ったリンゴを圧倒的にしのぐ」とOSMは強調する。一方で、今回のような問題を防ぐため、より良い品質保証ツールの開発などの取り組みも進行中だと説明した。
関連記事
- ニューヨーク市警、2015年導入の3万6000台の「Microsoft Lumia」をiPhoneに
ニューヨーク市警察(NYPD)が2015年に導入した3万6000台の「Microsoft Lumia」端末を今秋にAppleのiPhoneに切り替える。Microsoftは7月に「Windows Phone 8.1」のサポートを終了した。 - ニューヨークのイベント会場システムに不正侵入、1年前からカード情報が流出
米マディソン・スクエア・ガーデンなどの決済システムが不正侵入され、来場者が使ったクレジットカードの情報が1年近くにわたって盗まれていたことが分かった。 - New York Times紙に不正侵入、攻撃手法で対策の課題も明らかに
New York Timesが温家宝首相の不正蓄財疑惑をきっかけに中国のハッカーに不正侵入されたと報道。また、Symantecは「ウイルス対策ソフトだけでは不十分」と言い切った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.