「人生が続く限り芸術家の活動は続く」 芸術家を“あしながおじさん”が月額で支援 ピクスタが新サービス
ストックフォトサービスを運営するピクスタが芸術家の継続的な創作活動を支援するサービス「mecelo」(メセロ)の提供を開始した。芸術家が継続して活動できるよう“小さなあしながおじさん”を募る。
ストックフォトサービスを運営するピクスタは10月18日、芸術家の継続的な創作活動を支援するサービス「mecelo」(メセロ)の提供を始めた。月額制のクラウドファンディングのような仕組みで、支援者は芸術家が設定した「パートナープラン」を購入して活動を支援し、毎月返礼品(リターン)を受け取れる。
meceloのパートナープランは芸術家自身が複数設定できる。例えば「100円で毎月カレンダーの壁紙データを送る」「2000円で毎月作品を1つプレゼントする」といった幅広いプランの設定が可能だ。ピクスタの宮前賢一さん(mecelo事業部長)は「毎月小さな支援に小さなお礼を返す仕組みにし、たくさんの“小さなあしながおじさん”を募る」と話す。
「クラウドファンディングには大きな金額を集められるという利点もあるが、展覧会を一度開催するだけなど、単発で終わってしまうこともある。人生が続く限り芸術家の活動は続くので、継続的な支援が重要になる」(宮前さん)
支援金額のうち、meceloの手数料(12%)と決済代行サービスの利用料などを差し引いた約85%が芸術家に支払われる仕組み。meceloでは作品の販売も可能で、支援者が購入すると販売金額の約60%が芸術家に支払われる(手数料は36%)。
芸術家の個別ページには必ずインタビューを掲載。作品別のコメント投稿機能も設けている。芸術家と支援者が直接コミュニケーションできるようにし、芸術家の思いや創作の原点などについて知ってもらうことで、作品への理解や共感を促すという。
10月18日時点で、meceloには同社がオファーした20人の芸術家が登録。11月をめどに公募も始め、同社の審査を通過した芸術家を登録する。「本気で活動している芸術家をしっかりと支援したい。審査の基準については『長く芸術家として活動したいという思いが強く、自分自身の作風や世界観を持っている人』を軸に社内で議論している」(宮前さん)
文化庁の調査によると、世界のアート市場が約6兆7500億円であるのに対し、日本のアート市場は2437億円と小さい。宮前さんは「日本でアートが売れないのは、アートを体験する方法が分からない人が多いから。『価値が分からないからお金が動かない』という現状があるのではないか」と分析する。
meceloの提供を通じ、芸術家に継続的な支援、支援者には芸術家やアートについて理解する機会を提供し、そうした課題を解決する狙い。今後はコミュニティー機能、海外への作品販売、支援者から芸術家への仕事発注機能などの追加も検討するという。「アートの楽しみ方を知る人が増えれば、現状は変わるはずだ」(宮前さん)
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