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「AI開発ミステリー 〜そして誰も作らなかった〜」 とある大手製造業の怖いハナシマスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/5 ページ)

“AIベンチャーで働きながらネットで情報発信しているマスクマン”こと、マスクド・アナライズの新連載がスタート。AI開発のリアルな現状をお届けします。第1回は、AI導入に踏み切ろうとするも、ミステリー小説並の恐ろしい事態になってしまうある大手製造業のお話です(恐らくこの物語はフィクションです)。

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 ITmedia NEWS読者の皆さん、はじめまして。マスクド・アナライズと申します。自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”です。

 日々、さまざまな企業から相談を受ける立場として、記事を通じてAI開発のリアルな現状をお伝えしたいと思います。AIやIoT、データ分析における華々しい成功事例やプレスリリースとは一線を画し、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦する“シュートスタイル”を目指しております。

 口火を切ったITmedia NEWSによる取材記事もご参照ください。

 今回は「AI開発ミステリー 〜そして誰も作らなかった〜」と題し、AI導入を考える大手製造業をめぐるゾクッとする話を紹介したいと思います。「我が社もAI導入で成長戦略まっしぐらだ! ガハハ!!」という、植田まさし先生の4コマ漫画にも出てこないステレオタイプな社長の思い付きから始まるAIプロジェクトの恐ろしさに迫ります。

 社内の上層部が現場を巻き込み、いつもシステム構築を依頼しているSIer(※)に何とかAI開発の依頼もしてみるものの、そんなスタートでうまくいくはずがありません。「AIおじさん」たちが織りなす、本社と工場とSIerだけのクローズドサークルの中で、登場人物たちは一体どんな結末を迎えるのでしょうか。「ぼくのかんがえたさいあくのじれい」をお届けします(恐らくこの物語はフィクションです)。

※SIer…システムインテグレーションを行う業者。情報システム構築の際、企画・設計から開発、運用サポートなどを一括で請け負う

(編集:ITmedia村上)

新連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl


第1章:「思い付き」から始まるトップダウン

 今回の主役は一部上場の大手製造業です。

ミステリー

 製造業ではまだまだ年功序列も残っており、社長は社内でさまざまな経験を積んだ生え抜きが定番。多くの社長はIT部門に在籍した経験はなく、IT知識が乏しい方も多いでしょう。

 上場企業(製造業)における社長の平均年齢は61.1歳(2018年帝国データバンク調べ)なので、年齢や時代背景を考えれば、当然です。

 この年代のITリテラシーは乏しく、「TikTok」で動画を投稿したり、スマートフォンアプリを開発する社長は皆無でしょう。仮にいたとしても、地元ラジオに登場する変わり者社長的なポジションです。

 それでも世間でAIが話題になれば、ITに疎い社長も自ずと気になります。しかし、AI導入は成功した企業ばかりが大々的に取り上げられがち。日本経済新聞と週刊ダイヤモンドと東洋経済は、社長にとって大本営発表と同義です。

 そこで社長は、頼りにしているIT部長に自社のAI導入状況について尋ねます。

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