ユダヤ礼拝所銃撃容疑者が利用していたSNS「Gab」をPayPalやGoDaddyが締め出し
ピッツバーグのユダヤ礼拝所銃撃の容疑者が反ユダヤ発言を繰り返していたSNS「Gab」に対し、PayPalやStripe、Joyent、GoDaddyなどが取引停止を通告。Gabは発言を阻止された人は暴力に向かうと主張する。
米SNSサービスのGab AIは10月27日(現地時間)、米決済サービスのPayPalがGabのアカウントを停止したと発表した。その後、米Stripe(決済サービス)、米Joyent(韓国Samsung Electronics傘下のホスティングサービス)、米GoDaddy(ドメイン管理業者)からも取引停止の通告を受けたとツイートした。
Gabのサービスでは、同日午前中に米ペンシルベニア州ピッツバーグで発生したユダヤ礼拝所銃撃事件で逮捕されたロバート・バウアーズ容疑者が反ユダヤ的な多数の投稿していたという。
Gabは事件発生直後にバウアーズ容疑者のアカウントについての報告を受け、本人と確定した後データをバックアップし、アカウントを停止し、米連邦捜査局(FBI)に通報したとしている。
同社は公式Mediumで、「Gabのテロリズムと暴力に対するポリシーはゼロトレランス(不寛容)」だが、ミッションは「すべての人々の自由な表現と個人の自由をオンラインで守る」ことであり、「悪質な発言への解決方法はより多くの発言だ。検閲と人々を陰に追いやることは解決方法にはなり得ない」と主張した。「言葉で主張できなくなれば人々は暴力を使うだろう。だれもそれを望んではいない」。
Gabには、昨年8月の米バージニア州シャーロッツビルでの極右団体と反対派の衝突による死傷事件に関連してTwitterから締め出されたオルトライト(オルタナ右翼)系ユーザーが多数の移行してきていた。その段階でGoogleおよびAppleはそれぞれのアプリストアからGabのアプリを削除している。
ネットにおける言論の自由保護を目的とする米非営利団体、電子フロンティア財団(EFF)は当時、ネオナチサイトなどをサービス企業が締め出すことは危険だと警告した。
本稿執筆現在、GabのWebサイトはまだ稼働しているが、GoDaddyはGabに対し、29日にGabのドメインを停止すると通達している。Facebookページは既に閉鎖されている。Twitterアカウントはまだ存在する。
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