見た目では分からない富士フイルム「X-T3」の進化っぷり:荻窪圭のデジカメレビュープラス(5/5 ページ)
フルサイズミラーレス一眼の話題が席巻する中、さりげなく登場した富士フイルムの「X-T3」。見た目は前モデルとなる「X-T2」とほとんど変わらないが、実は見えないところに大きな変化があった。
フィルムシミュレーションにX-H1で採用された動画用の「エテルナ」が追加された。ダイナミックレンジを広く撮るため階調が柔らかくなるのが特徴だ。
X-T2にはまだなかったダイナミックレンジを拡張するモードも付いた。
富士フイルムのダイナミックレンジ調整はハイライト部のみでシャドウ部はそのままだったが、ダイナミックレンジ優先をオンにすると階調をコントロールしてシャドウ部も持ち上げてくれる。
右側が、ダイナミックレンジ優先をオンにしたもの。分かりやすいですな。
オンにするとかなりHDRっぽくなる。シャドウ部が浮きやすくなるが、明暗差が大きな構図ではかなり力を発揮する。
ダイナミックレンジ優先をオンにして屋敷稲荷と青空を。HDRで撮ったっぽい感じに。ISO感度が高いのは、おそらく感度を上げてアンダーで撮影し、内部で画像処理をかけているからだろう(18-55mm 18mm 1/1300秒 F5.6 ISO640)
さらに陰影を強調するカラークローム・エフェクトも追加された。画作りに関する機能は実に多彩だ。
最後に追加作例をちょっと。
そんな感じ。
使っていて不満を感じたのは、上記のタッチパネル関連と、バッテリーの持ちくらいかな。公称では増えているけど、やはり連写する機会も増えるので、もうしょうがないので予備を持って行くか、随時モバイルバッテリーからUSB充電するくらいの感じが良さそうだ。
意外に便利だったのはBluetooth常時接続機能。スマートフォンへの画像転送を行わなくても、これを使って、日時を自動的に合わせたり、位置情報をスマートフォンから得られるのは便利。
まあつまるところ、もともと完成度が高かった名機X-T2が、その良いところ(デザインや操作感)はそのままに、内部をパワーアップしたのがX-T3と思っていい。
スナップからスポーツや動物まで対応する汎用性、専用のダイヤルやレバーを駆使してダイレクトに設定を変えてさっと撮るという気持ちよさを味わいたい人はぜひ。
ミラーレス一眼で注目すべきはフルサイズセンサーモデルだけじゃないぞ、と知らしめてくれる1台だ。
関連記事
- 都会派の「X-T2」にアクティブ派の「X-H1」 富士フイルムの新フラグシップはどう違う?
富士フイルムのミラーレス一眼といえば、「X-T2」と「X-Pro2」のダブルフラッグシップと思われていたわけだが、その上を行く新たなフラッグシップ機が誕生した。それが「X-H1」だ。 - 今一番注目されてるフルサイズミラーレス一眼、キヤノン「EOS R」
ソニー、ニコンに続きキヤノンから登場したフルサイズミラーレス一眼「EOS R」である。AFはすごく速くて暗所にも強いなど基本性能は高い。コントロールリング付きのマウントアダプターも使ってみた。 - ニコンのZマウント初号機「Z 7」の実力は?
とうとう来ました、ニコンのZマウント初号機「Z 7」。ミラーレス一眼のために開発されたZマウントを搭載したZ 7が手元に来たのでさっそくチェックである。 - なぜ今、カメラ各社が新マウントを出すのか
カメラ各社が新マウントのミラーレス一眼を相次いで発表している。なぜ今なのか。カメラのマウントを巡る状況はどうなっているのか。そんな話。 - 前代未聞の“巨大コンパクトカメラ” ニコン「P1000」で月を狙う
いやもうデジカメ史上もっとも荒唐無稽、といっても過言じゃないカメラが発売されたのである。巨大なコンパクトカメラ、ニコンの「P1000」。125倍ズームである。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.