「Splatoon 2」をディープラーニングで攻略してみなイカ? 2018(後編)(1/3 ページ)
「ガチエリアは『塗り』と『キル』どちらが重要なのか」「編成事故は存在するのか」など、人気ゲーム「Splatoon 2」のファンの間で感覚的にいわれていることをデータサイエンティストが検証。
「ガチエリアは『塗り』と『キル』どちらが重要なのか」「編成事故は存在するのか、そうであればルールごとに望ましい編成は何か」――人気ゲーム「Splatoon 2」のファンの間で感覚的にいわれていることは本当に正しいのでしょうか。データサイエンティストの筆者がSplatoon 2の数百試合分のデータを解析し、勝利につながるヒントを明らかにしていきます。(前編)はこちらをご覧ください。
著者紹介:ミランドラ(mirandora)
データサイエンティスト。データ分析サイト「mirandora.com」を運営。YouTubeに開設した「ミランドラチャンネル」では「Splatoon 2」攻略動画を公開している。
本稿は、2017年11月にmirandora.comに掲載した「Splatoon 2 を Deep Learning で攻略してみなイカ?」で使用したデータを更新した上で、大幅に加筆・修正したものです。本稿に用いているデータは、筆者が運営するミランドラチャンネルに投稿された試合結果などを基にしています。合わせて参照してみてください(チャンネル登録、高評価、コメントもお待ちしております)。
目次
» 試合結果をひたすらキャプチャー、633試合分(前編)
» S帯のプレイヤーに人気のブキは?(前編)
» “編成事故”は存在するのか?(前編)
» 敵のキルが強くても“塗りの差”で勝つ方法
» ステージのどこを塗れば勝てるか Deep Learningで特定する
» “何時”ガチマッチをやるべきか
敵のキルが強くても“塗りの差”で勝つ方法
前編では、ガチエリア、ガチホコバトル、ガチヤグラ、ガチアサリと、ルールごとに「味方の合計キル数」「敵の合計キル数」といった変数がどの程度勝率に影響するか、ロジスティック回帰で解析しました。
しかし各変数の重要度は分かりましたが、個別要素の組み合わせのバランスや、勝利につながる具体的なキル数目標、塗りポイント目標は分かりませんでした。こうした疑問に答えるべく、次に「勾配ブースティングツリー」と呼ばれるアルゴリズムを用います。
勾配ブースティングアルゴリズムとは、決定木系のアンサンブルアルゴリズムであり、各決定木で分類を誤ったものに重み付けをして逐次、次の決定木を構築していく方法です。決定木は解釈がしやすいものの精度に難があり(異常値などに影響を受けやすい)、一方、勾配ブースティングアルゴリズムの実装方法の一種である「XgBoost」などは、精度は高いものの解釈が難しい、というメリット・デメリットがあります。
そこで、まずXgBoostを用いて、勝敗予測のために重要な変数を特定した上で、その変数に絞った上で決定木を用いることにします。
XgBoostを用いることで前編で用いたロジスティック回帰と比較して、XgBoostを用いることで勝敗予測精度が大幅に向上していることが分かります。
例えば、ガチエリアの場合、XgBoostで分類に重要な変数を特定した上で決定木を実施した結果は以下の通りです。
上記の結果からガチエリアは「敵チームよりも味方チームの合計キル数が5以上多ければ勝てる」「敵チームが味方チームよりも合計キル数が4以上多かったとしても、合計塗りポイントで味方チームのほうが540ポイント以上多かったら勝てる」といったことが分かります。
ガチホコの場合はどうでしょうか。
「敵チームと味方チームの合計キル数の差が4以上あっても、味方に1人、塗ってくれるプレイヤー(1530ポイント以上の塗り)がいれば勝てる」ということが分かります。
上記のようなことを参照しながら、編成や試合展開をみて、今回、どのような戦略でいくべきかを、試合中にダイナミックに考えるということが勝率を上げるヒントになるかもしれません。
ご参考までに、ガチヤグラ、ガチアサリの結果も載せておきます。
ステージのどこを塗れば勝てるか Deep Learningで特定する
ロジスティック回帰、XgBoostでの予測モデルを用いた勝敗予測結果を見てきましたが、せっかくですのでDeep Learningでも予測してみましょう。結果、ガチエリア、ガチアサリでは、XgBoostを上回る勝敗予測精度となりました。
ここまでさまざまなパラメータを使って、勝利のために重要な要素を機械学習で分析してみました。しかし、塗りの差を広げることが重要だと分かっても、具体的にステージのどの部分を塗るべきか、という疑問もあります。あるいは、不利な戦況を打開するにはどのルートから攻めるべきなのか、防衛側はどこに気を付けるべきか、という点も気になるでしょう。
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