「Splatoon 2」をディープラーニングで攻略してみなイカ? 2018(後編)(3/3 ページ)
「ガチエリアは『塗り』と『キル』どちらが重要なのか」「編成事故は存在するのか」など、人気ゲーム「Splatoon 2」のファンの間で感覚的にいわれていることをデータサイエンティストが検証。
“何時”ガチマッチをやるべきか
最後に、Splatoon 2での勝率の変化について考察します。Splatoon 2では、直近の戦績によって「ガチパワー」という値が算出され、ウデマエが近いプレイヤー同士がマッチングされるようになっています。しかしそうは言っても、時間帯によってはルール、ステージが変わるため、使用ブキとの相性によって、勝率が変わってしまうことが考えられます。
また、時間帯によってはプレイヤーの層が変わることも勝率に影響するかもしれません。しかし、そうしたルール・ステージ、周囲のプレイヤーに関係なく、時間帯そのものが勝率に影響するとしたら、意外でしょうか。
「When 完璧なタイミングを科学する」(ダニエル・ピンク著)という話題の本があります。この本で述べられていることは「何を」「どう」やるか、ということよりも、「いつ」やるかが重要ということです。
人間は遺伝子レベルで刻まれた体内リズムを持っていて、それぞれの時間帯で「創造作業」「分析作業」など、適している作業がある程度決まっている、といいます。
もちろん、朝型、夜型といったタイプによる違いはあります。例えば、朝型の人は、集中力は朝が最も高く、昼にかけて一度下がり、夕方にまた上昇し、夜にかけて再び下がっていくということです。
そこで、筆者のプレイデータからルール・ステージに関係なく、全ての試合データの合計での勝率の変化を図示しました(下記)。
こちらは、前述した本の中で紹介されている「朝型タイプの集中力の推移」に近似しています。午前7時が高く、昼過ぎから午後4時にかけて下がった後、午後5時ごろに再び上昇する傾向が見られます。このことから、筆者のような朝型タイプの場合、Splatoon 2に適した時間帯は午前7時か午後5時ということになります(そのような集中力が高まる時間帯は仕事をするべきでは、という提言はご遠慮ください)。
イカがでしたでしょうか。今回分析に用いたデータは、あくまで筆者のS・S+帯での対戦データを用いています。また対象のデータは試合結果であって、試合過程のデータは用いていません。そのため今回の分析によって、勝率を上げることにつながる全ての要因が明らかになったわけではないでしょう。もしかしたら、疑問点や「既に知っていた」と思われる点もあったかもしれません。
ですが、本稿の分析過程・結果が、皆さまがプレイ中に考えていた論理に抜け漏れがないか、具体的な数値を把握できていたか、を整理するきっかけになれば、そして、皆さまの勝率が上がる(あるいは安定する)ことにつながれば幸いです。
今回、示した分析結果をイカすには、実際に自分でプレイすることはもちろん、プレイ動画を見ることも大切でしょう。よろしければ、筆者がYouTubeに開設している「ミランドラチャンネル」の動画も参考にしてください(なりふり構わない宣伝)。
今日も対戦データを無数のイカたちが生み出しています。新たなデータに巡り会えることを楽しみにガチマッチに潜りに行きましょう。
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