「ビッグデータ」が「notデータ」でAIマジギレ!? “残念なAI導入”を卒業するには:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(2/4 ページ)
ハロウィーンのお祭り騒ぎのように、AI(人工知能)やロボットブームに沸く日本。「とりあえずAIをしたい」という相談に悩まされてきたAIベンダー担当者が、AIが活用できる分野を紹介する。
AIを生かせる分野は「限定的」
現時点でAIが人間より優れている分野は限定的です。AIが活躍するのは、次に紹介する分野です。
- 定型的かつ例外が少ない作業
- 同じ作業の繰り返し
- 一定の範囲内で行われる
- 24時間365日稼働
- 製品単価が高い事業
- 大量のデータから判断する
- 人命や大事故に直結しない
- 長年の勘と経験が要求される業務
- 人間が行う作業の置き換えや補助ができる
- 少ない改善効果でも一定の利益が見込める
なお、前提条件として「正常・異常を含む十分な量のデータ」が必要です。ここでの「データ」は「整備されたデータ」であり、紙資料やPDFやExcel方眼紙ではありません。そもそもデータという材料がなければ、AIは活用どころか導入すらできません。
AI活用に向いているのは、どんな分野でしょう。分かりやすい例として、半導体など単価の高い工業製品、改善効果が出やすい広告や金融業があります。
これらは数%の改善でも利益につながり、費用をかけてAIを開発しても元が取れる分野です。また、長い経験が必要な作業で熟練者のノウハウを数値化し、AIで再現しても良いでしょう。
育成に掛かる手間や時間を削減し、短期間で一人前になれれば、メリットがあります。実例としては設備の保守点検業務や、杜氏による酒造りなどが挙げられます。合わせて、費用対効果も判断する必要があります。以前、唐揚げを判別して盛り付けるロボットがテレビで紹介されましたが、パート社員よりコスト優位性があるかは疑問です。
365日24時間必ず唐揚げ弁当を作る工場ならメリットはありますが、たまに作る程度ならパート社員がやれば済む話です。
「ベテランの勘と経験」はAIで補完
時々行う単純作業ではなく、勘と経験が必要な属人性の高い分野を優先的にAI(ロボット)で補完しましょう。製造業では故障や不良品の原因を探るときに「機械の声を聞け」と言われます。厨二病をこじらせたオッサンの妄言ではなく、「感覚で理解しろ」的な意味です。
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