東京大学大学院情報理工学系研究科の川原圭博准教授ら研究グループは1月7日、切断しても機能を保持できるワイヤレス充電用シートを開発したと発表した。任意の形に切り取れることで、スマートフォンを置いたり、ポケットに入れるだけで充電できる家具、衣服、かばんなどを作りやすくなるという。
開発したワイヤレス充電シートは、シート中央に電源部を配置。中央から外側に向かって「H木」と呼ばれる配線方法を採用することで、シートの外側から切断しても、残った複数のコイルに電流が行き渡る仕組み。従来のワイヤレス充電シートは、配線やコイルがマトリクス状(格子状)に配置されていることが多く、一部を切断しただけで全体が機能しなくなることが多いという。
コイルを密接に配置することで、ワイヤレス充電シート上のどこに端末を置いても充電できる利便性も確保した。しかし、密接に配置するほどコイル同士が干渉して給電効率が下がる問題があった。新しい充電シートでは、隣り合うコイルが同時に給電しない「時分割給電」を採用することで、コイル同士の磁気的干渉を抑えた。
これまで製品にワイヤレス充電機能を組み込むには、製品の形状に合わせて配線や磁気的干渉を考慮した設計が必要だった。同大の研究グループは「生活用品にワイヤレス充電機能を気軽に付与することが期待できる」としている。
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