「クズだな」→「クズ過ぎる」 私がツイートを“たらい回しする遊び”に参加しなかった理由:ITりてらしぃのすゝめ(2/2 ページ)
先日、Twitter上で「クズだな」「クズ過ぎる」などの短文と共に、とあるツイートが続々と引用RTされる出来事が起きた。SNSでよく見るジョークの1つと笑い飛ばすこともできるが、サイバー犯罪者がつけいる隙を与えることにも……。
SNS上の冗談にマジレスするのは無粋?
このような話をすると「セキュリティの人はジョークが分からない」「こんな遊びもたまにはいいのでは」という反応があると思いますし、こうした意見もよく分かります。個人的にも「SNSは楽しく遊ぶもの」だと考えていて、その楽しみ方に冷や水をぶっかけるような行為は無粋であるとも思っています。しかしその大前提として、投稿やRTなど全ての行動に自らが責任を持つべきでしょう。
よく見る光景としては、ある事柄のツイートが爆発的にRTされた後、実はその事柄が間違っていた、フェイクニュースだった、ということが分かったときに、RTをした本人が「だまされた」という表現をすることがありますが、個人的にはとても気になります。RTした本人はだまされたと同時に「誰かをだました」ということにもつながっているからです。
そのため、消極的な対策としては、見る側である私たちがこの手の話を見かけたとしても、むやみやたらにクリックせず脳内でミュートを行うこと。もう一歩踏み込んだ対策としては、ジョークだと思って行った行動が、誰かを傷つけるかもしれないことは、現代のSNSを利用する上で頭の片隅に置くべき指針の1つだということを明確にコメントしていくことが挙げられるでしょう。
Twitterもホームページも、昔はそこまで深く考えずに使えるツールだったのは間違いありません。しかし、多くの人が参加し、多様化しすぎた結果、行動が制限され始めている印象です。だからこそ、個人的にはあまり人とつながらない、そもそもあまり人がいない状態の分散型SNSのマストドンがとても心地いいですね。
「バズる」ことの裏に潜むリスク
今回起こった一連の「クズ過ぎる」ツイートを責めるつもりはありませんが、そろそろ「バズる」ことに対しての考え方を変える必要があるかもしれません。それは先日Instagramでただの「たまご」の画像がバズったことからもうかがえます。もはや、元になる情報の重要性よりも、バズること自体が目的になりつつあるからです。
「インターネットは知の集合体である」ということをいまだに信じている私は、できればまだバズっていない知見が、それを欲している人に届く程度につながるちょうどいい仕組みがあればうれしいと思っています。無駄にバズることは、サイバー犯罪者の注目も集めてしまいます。今後はそんなことも少し気を付けつつ、楽しくSNSを活用していければいいですね。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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