“自称AIエンジニア”を見破るには? 採用担当に伝えたい「ゴレンジャイ問題」:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(3/3 ページ)
「AI人材の採用がうまくいかない」と感じている採用担当者は少なくないだろう。また、いざ採用しても求めていた人材と異なるというミスマッチの問題もある。どうすれば良いのだろうか。
複雑かつ高度なIT分野において、人事担当や人材紹介会社の知識だけで応募者の能力を見極めることは難しいです。そこで採用条件の作成段階からエンジニアの意見を取り込み、書類選考や面接も協力してもらうことをお勧めします。
また、面接だけでなくプログラミング試験など技術スキルを計る仕組みも必要です。数学や統計への理解、英語力なども確認すべきでしょう。
AI開発では「人数を集めて何とかする」という方法が通用しません。とりあえずプログラミングできるというレベルのエンジニアを10人集めてもAIは完成しません。むしろ優秀なエンジニア1人に10人分の給料を払った方が結果が出るような世界です。
これまでの業務システム開発とは必要なスキルや資質が異なるので、新たな評価基準を設け、採用フローを一から見直す必要があります。AI開発においては、これまでの常識が通用しない事をあらためて認識してください。
「ITエンジニアに重要なのは、技術力ではなく業務知識とコミュニケーションスキル」という意見もあります。AI開発でも同様ですが、これを曲解して「数学や統計が分からなくてもAIを開発できる」と喧伝(けんでん)する人もいます。
もちろん「とりあえず動くAI」なら数学や統計の知識は不要ですが、「自社業務に役立つ最適化された精度の高いAI」は作れません。クラウドサービスなどでAI開発のハードルは下がっていますが、人間の業務を代替して仕組みを説明できるAIを開発するには、数学や統計が必要でしょう。
在庫管理や給与計算の業務システムと、画像認識や故障予測のAIでは、エンジニアに求められる能力は異なります。優劣や上下の問題ではなく、AI開発を従来のシステム開発と同一視せず、新しい別の分野だと認識するきっかけにしてください。
まとめ
突然ですが、年末年始にこんな経験をしたことはありませんか?
激安な横丁で買ったカニやマグロがおいしくなかったり、クーポンで割引された豪華おせちが写真と全然違ったり――これも、増え続ける需要に供給が追い付かず、付け焼き刃で対応した結果といえます。それは食材も人材も変わりません。
そして本当に良いものは表立って扱われず、価値が分かる人や信頼できる人だけで直接取引されます。電話営業してくる人材派遣会社にGAFAで活躍できる人材はいませんし、優秀な人材はヘッドハントや知り合いの紹介で転職するので、転職市場には出てきません。
冒頭のゴレンジャイは“悪の道14年”で独り立ちした苦労人の悪役が、正義のヒーローとして未熟なメンバーを指導(浜田雅功がつっこむ)するコントです。
システム開発の現場でも、技術を全く知らずに流されてきた見習いエンジニアを、現場のベテランが教育するのはよくあることです。コントであるゴレンジャイなら赤が3人と黄色が2人という見た目ですぐに分かりますが、AI人材は見た目で判断できません。
いま一度、採用した人材に目を向けてみましょう。御社のAI人材が「ゴレンジャイ」ではないと断言する保証は、どこにもありません。
告知:著者より
AIベンチャーのABEJA様が主催するイベント「ABEJA SIX 2019」で「徹底討論 : AI導入・運用を加速せよ、40分一本勝負!」と題し、同社の岡田陽介社長とのトークセッションに登壇いたします。エンジニアと会社が一丸となって、AIによる業務改善を実行するには何をすべきか? 理想に流されがちなAI論において、現場と現実を知る2人による発言の真意とは何か。お勉強と導入事例と社内調整ばかりの組織を変え、AIの実装をさらに加速すべく、本音で徹底討論します。
日時:2019年3月4日(月) 午後5時20分〜午後6時
主催:株式会社ABEJA
場所:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(東京都港区高輪3-13-1)
参加費:無料
イベント詳細と参加申込みはこちら
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