インクジェット技術で2次電池製造、リコーが実現 IoT機器やウェアラブルデバイス向け
リコーは、インクジェット技術を使ってリチウムイオン2次電池を自由な形で製造する技術を世界で初めて開発した。電池の材料をインク化し、インクジェット技術を使って狙った場所に重ねてデジタル印刷が可能。
リコーはこのほど、インクジェット技術を使ってリチウムイオン2次電池を自由な形で製造する技術を世界で初めて開発したと発表した。電池の材料をインク化し、インクジェット技術を使って狙った場所に重ねてデジタル印刷が可能。IoT(Internet of Things)デバイスやウェアラブルデバイスなど向けに、自由な形の電池を製造できるとしている。
2019年度から電池メーカー向けに、同技術で作った電池部材の提供やデジタル製造の提案を始める。将来は、デバイス上に2次電池を直接印刷する実装技術の実現を目指す。
従来の電極電池は、セラミックスなど電極材料を混ぜ込んだ高粘度のペーストをスリットから押し出して塗布した後、必要な大きさや長さにそれらを切り出して製造している。
今回、セラミックスの微粒化と独自の分散技術により、インクジェットヘッドから吐出できる低粘度・高濃度な電極材料インクの製造を実現。リチウムイオン2次電池に用いられているほとんどの種類の電極材料のインク化に成功したという。
また、電池内で電極のショートを防ぐセパレーターをインクジェットで形成できる技術も同時に開発。これらの電池部材をデジタルデータに従ってインクジェットヘッドから吐出することで、さまざまな形状の電池を製造することができる。
従来の2次電池は規格品のため、電池の大きさや形状が制限されていたが、インクジェット技術を使えば自由な形で製造できる。また、従来の2次電池は電極を切り出す際、電極以外の部分に塗布された電極材料が無駄になっていたが、新技術ならそういった無駄もないという。
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