「どうして普通のデビューじゃないんだろう」――それは、あるニュースを知ったジャニーズファンの一言だった。2月19日、ジャニーズ事務所はバーチャルアイドル事業への参入を発表。同日夜から関西ジャニーズJr.内の7人組ユニット「なにわ男子」の藤原丈一郎さんと大橋和也さんが、バーチャルキャラクターとして、ライブ配信サービス「SHOWROOM」で動画配信を始めた。
ネット上では「ファンが増えそうでうれしい」「活躍の幅が広がる」といった好意的な意見がある一方、「どうしてバーチャルなのか」「本人としてライブ配信してくれた方がよかった」といった否定的な意見もある。ジャニーズJr.ファンのAさん(20代女性、会社員)に、初回配信後の心境を聞いた。
動画配信を望む声は多かった。でも……
Aさんの担当(※)はジャニーズJr.の「HiHi Jets」というグループ。関西ジャニーズJr.からバーチャルアイドルが誕生したというニュースは人ごとではなかった。「なにわ男子は、ジュニアの中でも人気のグループ。最近事務所からも推されていて、(CDなどで)デビューするんじゃないかといううわさもあったので、ファンはみんな混乱している」(Aさん)
(※)特に応援しているアイドルやグループを指すときに使う言葉。「私は○○担当だ」「自担(自分の担当)は○○くんだ」のように使う。
動画配信自体は、ファンにとって意外なことではなかった。HiHi Jetsなど関東で活動するジャニーズJr.のグループは、YouTubeの「ジャニーズJr.チャンネル」ですでに動画配信を行っているからだ。関西ジャニーズJr.のファンの間でも、担当グループに動画配信を求める声が上がっていたという。
「なにわ男子のライブをSHOWROOMの社長が見にきていたといううわさもあったので、『SHOWROOMで動画配信してくれないかな』と期待している人もいた」(Aさん)。しかし、バーチャルアイドルとして配信するとは、ニュースを見るまでファンの誰も予想していなかった。
配信をみたファンの反応は?
初回配信後のファンの反応はさまざまだ。バーチャルキャラクターとして配信することを楽しむ人もいれば、声とキャラクターの動きで配信中の本人を想像して楽しむ人や、キャラクターは見たくないが、本人の声を聞きたくて視聴するという人もいる。その中で、多くのファンに共通しているのは「やっぱり本人の姿が見たい」という意見だ。
人間と違い、バーチャルキャラクターの姿は基本的に変わらない。衣装などを変更することはあっても、容姿はそのままであることが多い。「背が伸びたり、顔つきが変わったりといったアイドルの成長もファンの楽しみの1つ。そこは、バーチャルじゃダメなんです」(Aさん)
なにわ男子は7人グループだが、バーチャルアイドルとして活動しているのは2人のみ。グループ活動への影響を懸念する声もある。「ジャニーズJr.のグループは、解体されたり再編成されたりすることもよくある。なにわ男子がちゃんと7人で活動を続けてくれるか、不安なファンもいると思う」
自分の担当がバーチャルアイドルに起用されたら「頭を抱えるしかない」とAさんは苦笑する。「バーチャルアイドルを否定する気はないけれど、“中の人”ではなく、本人の容姿やパフォーマンスで売れてほしいという気持ちもある。生身のアイドルは、生身のまま応援させてほしい」。今回デビューした2人のバーチャルアイドルは、「バーチャルジャニーズプロジェクト」の“第1弾”という。Aさんの不安は、まだまだ晴れそうにない。
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