RPA×AIで何ができる? 一歩進んだ業務効率化のススメ
RPAとAIを組み合わせると何ができるのか? 一歩進んだ「業務効率化」についてRPAテクノロジーズが解説した。
「RPAの高度化にAI(人工知能)は必須だ」――RPAテクノロジーズの遠藤国枝氏(ソリューションラボ部 RPA×AI担当)は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とAIを組み合わせることの必要性を、こう強調する。
RPAはPC上で行う定型的な業務をソフトウェアロボットに代行させるもの。Excelに入力されたデータを自社の基幹システムに転記したり、特定のWebサイトをクローリングして情報収集するといった使い方ができる。
一方のAIは、人間が行う特定の判断や意思決定(分類や予測)をサポートする役割を担う。RPAは基本的に人間が設定したルールに基づく業務しか行えないが、AIと組み合わせることで、非定型業務もサポートできるようになることが期待されている。
遠藤氏は「RPAとAIは相性が良い。RPAと連携させることでAI導入のハードルもものすごく下がる」と話す。RPAとAIを組み合わせると、具体的にどのようなメリットがあるのか。3月5日に開催されたAIイベント「SIX 2019」で説明した。
RPA×AIで何ができるか?
RPAとAIを連携させると、具体的にどんなことができるのか。
例えば物件検索サイトを運営している不動産企業の例を見てみよう。検索サイトに物件を登録するには、不動産情報を公開するサイトをクローリングし、物件情報を目視して物件情報の登録や更新を手作業で行う必要がある。アクセス先のサイトや登録先の物件サイトなどを指定すれば、これらの作業はRPAで自動化できる。
遠藤氏は、これにAIを組み合わせた事例を紹介する。機械学習のモデルに過去の不動産取引情報を教師データとして学習させることで、短期間で成約した物件とそうでない物件を分類するモデルを作成。AIが短期で貸出先が決まると予測した物件データをRPAで自動登録させた。一連の作業はコンピュータ上で完結しており、AI導入により収益も向上できたという。
「RPAはExcelマクロの延長であり、AIが人間の判断、思考、予測を再現するところまでやらないとRPAでの業務は完結できない」と遠藤氏。RPAで収集したデータをAIに取り込み、AIが予測したデータをRPAで集計・登録するところまで自動化することで、人間はより創造的な業務に集中できるとしている。
「AI単体での導入はハードルが高いが、RPAと組み合わせることで新たなシステム構築なしで(部分的に)AIを導入できる」(遠藤氏)
RPAテクノロジーズ最高執行責任者の笠井直人氏は「AIもRPAも運用力が大事。成功している企業は、検証して終わりではなく、実装後の運用を自立自走型で頑張っている」と語った。
同社はAIベンチャーのaiforce solutionsと業務提携。自社のRPAツール「BizRobo!」と連動したデータ自動分析アプリをリリースするなど、ユーザー部門主導で活用できるRPA×AIツールの普及を目指している。
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