スマホの先をソリューションで模索する5G
5Gについて考える時重要なのは、展示内容で目立っていたのがなにか、ということだ。
5Gは、他国では2019年中にサービスが本格化する「すでにある」存在に近づいている。だから、5Gをどう実現すべきか、どういう機器を導入すべきか、というベーシックな話は一段落した状況にある。楽天のように、ソフトウェアベースで新しいシステムを構築するところはそれをさかんにアピールしているのだが、むしろ多くの企業は「5Gでなにをして、そこになにが必要か」という話をし始めている。
もちろんそこには、MWCと言う場が業界内だけでなく、より広い場でテクノロジーをアピールするイベントになった、ということも影響しているのだろう。
例えばIntelは、5Gのソリューションと共に、レジ無し店舗を展開するための技術を展示していた。これは5Gの広帯域、低遅延ネットワークがある中で、どのような技術が広がり得るのか、というテストケースである。
同様に、Huaweiはスマートシティ関連の展示に余念がなかった。街中にあるカメラやセンサーを使い、自分がこれから行動する場所がどうなっているかを把握して適切な行動を取ることに役立つだろう。それ以上に、自治体などのインフラを持つところが、生活インフラが正常に作動しているかという情報を広汎に取得し、トラブルを小さな段階で発見して修復していくことで全体コストを減らす、ということが重要だ。もちろんプライバシー面での配慮は必須だが。
こうした用途は、いわゆる「広帯域が使えるスマホ」とは違うものだ。むしろ、スマホの通信速度が上がることは、多くの人にとって「そうなればいいけれど、それですぐに生活が変わったり、スマホを買い換えたいと思う要素でもない」ものなのだ。むしろ、いかに「スマホ以外の通信を利用する領域」を開拓するかが、5Gにおけるテーマとなっていることを確認する良い機会だったとも思う。
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