そういうのアリかと驚く「remade:」
一方で、「そういうのアリなのか」という大胆な展示をする企業もある。あまり日本では伝えられていないようなので、最後にご紹介しよう。
それは、フランスの「remade:」という企業だ。
ここが提供するのは「iPhone」である。でも、写真を見ると、ちょっと違和感がないだろうか。こんな色のiPhoneは、純正では提供されていない。
実はこの会社、中古のiPhoneを集め、分解し、バッテリーなどのパーツを新品に交換した上で、アルミのボディも純正パーツを染色して組み立て、「新しい別のiPhone」として製品化するものだ。
彼らの口からは「ビジネスとして問題ない」とコメントはもらったものの、Apple側がどう考えているかはわからない。
だがまあ、それはともかく、こういうビジネスが成立することそのものが、スマートフォンビジネスの大きさであり、特にiPhoneというビジネスの特異さを示している。単一のモデルが大量に供給され、数年間は商品としての価値を持続し、さらには非純正のパーツ供給も行われていて、「それらを再び組み立てて売ることがビジネスになる」スマホは、他にあまりない。他社はもっとバリエーションが多く、モデルチェンジ後には過去モデルの商品価値が急激に下がるので、単純にremade:のようなビジネスプランは採れないだろう。どちらがいい、悪いというよりも、「Appleだけが特異なビジネスモデルを成立させている」ということだ。
「そうしたビジネスはあと何年同じ形で続くのだろうか」もしくは「Apple以外がApple的なビジネスモデルに変わっていく可能性はあるのか」という疑問が残るのだが。その答えはきっと、5Gが当たり前の存在になる2023年あたりには出ていることだろう。
関連記事
- 「メルペイ」から考えるモバイル決済「勝利の方程式」
「なんとかペイ」乱立の中、メルカリが投入してきた「メルペイ」の特異さに注目する西田宗千佳氏の見方。 - ランキングは必要か? コンテンツ配信の「反響」と「新しさ」
TVerにあって、Netflixにないもの。それはランキングだ。コンテンツ配信サービスの最新事情を西田宗千佳さんが解説。 - 競合と共存 CESで見た「プラットフォーム戦争」最新局面
Google、Apple、Amazonといったプラットフォーマー同士の競争は一段と過熱化している。しかし、彼らはただ競り合っているだけではないのだ。レイヤー化した局面を西田宗千佳さんが解説。 - メディアの変化で「音楽コンテンツの命」はどう変わったのか
「コンテンツの寿命はどんどん短くなっている」という定説に、西田宗千佳さんは異を唱える。その理由とは? - 西田宗千佳さんとマストドンについて対談した
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」で4月のマストドン爆発期について話した。 - 西田宗千佳さんとの「マストドン対談」がKindle書籍に
これも「マストドン関連書籍」の1つ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.