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「神様が来て全てを壊した」 繰り返される仕様変更、本当にあったAIプロジェクトの怖い話(3/3 ページ)
AI(人工知能)ベンチャーのトライエッティングが“大炎上プロジェクト”の経験を振り返る。本当にあった「メテオフォール型開発」の怖い話。
「プロジェクトの成功はチーム構成で7割決まる」
難航したプロジェクトも、いまはチーム構成を工夫したことで比較的順調に進んでいるという。長江社長は「プロジェクトの成功はチーム構成で7割決まる」と豪語する。
具体的には、神様たちとも情報の共有漏れが起きないよう工夫した。第1会議体として現場担当、人事担当、情シス担当、トライエッティングで話し合いを行い、第2会議体として現場の神様と人事担当の上司との定期ミーティングを設定。本部の神様には会議の内容を定期報告する他、第1会議体のメンバーも直接コミュニケーションできるようにしたという。
「現場の神様にもミーティングに入ってもらうことで、われわれが頑張っていることが伝わりやすくなった。プロジェクト進行においては依頼者側の安心感も必要」(長江社長)
また、長江社長は「長期的にみたシステム構築をする際、データ仕様の変更は必ず発生するので、それも込みで設計すべきと感じた。今回の件で、5年使ってもらえるシステムを構築するにはどうすればいいのかを考えるきっかけにもなった」としている。
データ仕様が変わっても柔軟に修正やアルゴリズムの追加ができるシステムのカスタマイズ性、実装の際に大幅なリプレースが不要な従来システムとの結合性、大規模なデータ処理や大量のクエリをさばけるシステムの冗長性など、技術的要件を抑えておくことも重要だ。
AIプロジェクトは長期的に取り組むことが前提になることが多い。失敗から学べることは多そうだ。
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