名刺のフォントであなたの第一印象が決まる? ビジネスパーソンのためのフォント選び(後編):デジタルネイティブのためのフォントとデザイン(1/3 ページ)
名刺やインビテーションカードなどを例に、セルフブランディングに効果的なフォントの使い方とコツを紹介しよう。
個人の名刺から結婚式のインビテーションやご挨拶のハガキまでパーソナルブランディングが大切な時代。そんな時代の中ではフォントの使い方やセンスで印象が大きく変わってくる。
ビジネスでのフォント使いは組織や仕事を最適化して表すものだが、プライベートでは「私はどんな存在か、どう見られたいか」ということを最優先して考えよう。自分のイメージを友人やコミュニティの中に伝えるためにも、とくに名刺は重要なアイテムだ。仕事やビジネスの名刺だけでなく、個人の名刺を持つことをおすすめしたい。
クリエイティブ系の方々の名刺のように印刷形式や用紙に凝ったりしなくとも、自分でPDF形式のデータをプリントサービスショップに依頼すれば、オンデマンドの片面印刷なら100枚を2000円、両面印刷でも3000〜4000円程度で印刷してくれる。
前編の企画書に続き、後編となるこの記事では名刺やインビテーションカードなどを例にとり、セルフブランディングに効果的なフォントの使い方とコツを紹介する。
(※キャプションに記載の一部を除き、作例中の文章や画像は架空のものです)
連載:デジタルネイティブのためのフォントとデザイン
スマートフォンやSNSの普及で、誰もが気軽に情報を発信できるようになった今、「どう発信するか」を考える上で、欠かせないのがフォントやデザインです。「最近ここのフォント変わったな」「このロゴどうやってデザインしたんだろう」と、身近な文字が気になっている人も多いのではないでしょうか。
この連載では、街角やビジネスの現場など身のまわりにある文字をきっかけに、奥深いフォントとデザインの世界をご案内します。いつも使っているスマートフォンやデジタルカメラを片手に、ひとときの「フォントの旅」を楽しんでみませんか。
菊池美範(きくち よしのり)
1980年代末からパーソナルコンピュータをデザインワークに取り入れ、1990年代〜現在までグラフィック、エディトリアルデザインの分野でフォントの適切な使い方にこだわったデザインワークを続ける。「ITmedia NEWS」のロゴの「ITmedia 」部分のデザインも担当している。
ビジネスでの名刺とは別に、趣味やグループ活動のために個人の名刺を持つ方は少なくない。それだけに「こちらは私の個人名刺です」と差し出されたときは新鮮な印象を持つ。その方の人となりがよく出るともいえる名刺の目的は、組織や仕事に所属する一部としての人ではなく、個人の名前をハッキリと覚えてもらうことにある。
まずは思い切って、名刺の表面は名前だけ、裏面にSNSやブログのアドレスや情報を記載するという手法でフォントを選んでみよう。縦書きでも横書きでも構わないのだが、ここではせっかく縦書きの文化を持つ日本語のために縦書きを事例にした。
表面を名前だけにするメリットはもうひとつある。それは「名前を覚えてもらいやすい」ことだ。名前しかない名刺を受け取ったとき、その人の属性や肩書きに興味をもったら必ず名刺を裏返すはずだ。裏面にはすべての情報が記されている。そこで名前をもう一度リピートして連絡先やメール、SNSのアドレスを確認することで、さらに印象が深まる。
左から游明朝体ミディアム 20ポイント、A P-OTF きざはし金陵 StdN M 28ポイント、A-OTF 光朝 Std 38ポイント、A P-OTF A1ゴシック Std M 20ポイント、A-OTF UD新ゴ Pro L 28ポイントを使用
表面は名前だけなので慎重にフォントを選ぼう。明朝体系を使うか、それともゴシック体系を使うかは好みによる。自分らしさをブランディングできるフォントを楽しみながら選ぶには、日本のフォントメーカーのサイトで自分の名前を入力してフォントをシミュレーションできるので試して欲しい。
近年は「名刺交換は紙でなくEightのようなSNSで」とか「相手に紙の名刺を消費させずスマートフォンのカメラで撮影して名刺は返却」という、とても良いビジネスハックを実行されている方もいらっしゃるが、それでもまだ名刺交換の機会は多い。そのためにもきちんと覚えてもらうフォントサイズが必要だ。
小さいポイント数はおしゃれな名刺をつくりやすいが、シニアの方に読んでいただくことを考えると、最低でも16ポイント以上のサイズは必要だ。
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