はやぶさ2、人工クレーター作る実験に成功 「宇宙探査の新しい手段を確立」
探査機「はやぶさ2」が小惑星に人工的なクレーターを作る実験に世界で初めて成功。小型カメラが撮影した写真には、リュウグウの表面物質が砕け、飛び散っている様子が写っている。
「本日、私たちは宇宙探査の新しい手段を確立しました」――宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月5日、探査機「はやぶさ2」が小惑星に人工的なクレーターを作る実験に世界で初めて成功したと発表した。JAXAの津田雄一プロジェクトマネジャーは、記者会見でそのように話し、笑顔を見せた。
はやぶさ2は同日午前11時ごろ、金属の塊を対象にぶつけて人工クレーターを作る衝突装置(SCI:Small Carry-on Impactor)、小型カメラ(DCAM3)を小惑星「リュウグウ」に向けて分離した。衝突装置は分離から約40分後に爆発し、重さ約2キロの金属の塊をリュウグウ表面に打ち込んだ。その間、はやぶさ2は、爆発で生じたデブリと衝突しないように、安全な場所へと退避した。
「見えますでしょうか」――津田プロジェクトマネジャーは記者会見で、興奮した様子で1枚の写真を披露した。SCIの爆発予定時間に、DCAM3が撮影した写真には、リュウグウの表面物質が砕け、飛び散っている様子が写っている。津田プロジェクトマネジャーは「噴出物の様子から計画通り、SCIが作動したと判断した」と話す。クレーターが予定通りできたかどうかの確認結果は、あらためて報告するという。
リュウグウの表面物質は、太陽風などの影響を受け、風化が進んでいるが、地下の物質はそうした影響を受けていない。地下の物質を表面に露出させ、はやぶさ2が調査できれば、小惑星の形成過程の解明につながる。はやぶさ2は、5月下旬にも装置を衝突させた場所に着陸し、物質を採取する計画だ。
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