「どういうデータを取得し、どのようにプロダクトに落とし込むかという発想を持つ人がいればAIは加速する」――メルカリ取締役CPO(Chief Product Officer)の濱田優貴さんは、こう話す。
同社は3月28日に技術説明会を開催。同社は現在AI(人工知能)技術に注力しており、フリマアプリ「メルカリ」でも積極的にAIを組み込んだ機能を提供している。
AI人材の採用を強化する中、同社がAIに取り組む理由や、フリマアプリ「メルカリ」の今後について語った。
目指すのは「かざすだけで出品」
メルカリで特に注力するのが、売ることの簡略化だ。ECサイトの登場で、多くの人にとって商品の売買は身近なものになってきたが、濱田さんは「売ることへのハードルはまだ高い。AIを使って売ることをもっと簡単にしたい」と話す。
売ることの簡略化には既に取り組んでおり、現状は、スマートフォンで写真を撮ると商品名、カテゴリー、ブランドなどを自動で表示する機能を提供。本、ゲーム、CDなど一部の分野では、販売金額まで提案してくれる。
今後はディープラーニングによる画像認識や物体認識の技術を生かし、スマホカメラを商品にかざすだけで出品できる機能を追加する予定。ノートPCやカメラなど一部の商品では、スマホカメラをかざすだけで「メルカリで平均●●円で売れています!」といった推定価格を表示できるプロトタイプも開発した。
購入者向けには、欲しい商品の写真を撮るだけで類似の出品物を探せる機能を開発中。名前が分からない商品も検索できるようにし、購入機会の損失を減らす狙いだ。
「AIを加速させる人材」の条件
同社は現在、AI人材として機械学習エンジニア約20人、開発したAIをサービスに組み込む技術者約10人を抱えている。4月には新卒約10人が入社し、10月に海外から新卒約20人が入社する予定だ。
濱田さんは「AIを作る人間と使う人間は今後分かれてくる。AIのモデルを作るのは引き続き専門性が必要だが、どのようなデータを取得してどのようにプロダクトに落とし込むかを考えるのはエンジニアでなくてもいい」とし、「いまはそれを考えられる人材が不足している。エンジニアはAIに食わせるデータを作ったりする作業がほとんどなので、正しくAIを理解できる知恵のある人がいればAIが加速すると思う」と、求める人材像について語った。
【2019年4月9日17時54分更新:タイトルの表現を変更しました】
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