国内IaaS/PaaS市場、19年は4200億円に拡大へ DXにおけるクラウド活用が浸透
矢野経済研究所が、国内のIaaS/PaaS市場動向に関する調査結果を発表。2018年の同市場規模は3200億円で、19年には4200億円に成長する見込みという。「デジタルトランスフォーメーション」の基盤としてクラウドを採用する企業の増加が予測されるためという。
矢野経済研究所は4月8日、日本国内のIaaS/PaaS市場動向に関する調査結果を発表した。調査によると、2018年の同市場規模(事業者売上高ベース)は3200億円(前年比33.3%増)だった。「既存システムのクラウドへの移行が市場をけん引する形で堅調に推移した」という。
クラウド基盤の導入は企業規模を問わず進んでおり、同社は「年商数百億円以下の中堅・中小企業においても(クラウド基盤の利用は)もはや一般的。ユーザー企業がパブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスなどのシステム環境を組み合わせて使うハイブリッドクラウドの利用も増加基調にある」と分析する。
19年には4200億円に拡大へ
19年の国内市場規模は、前年比31.3%増の4200億円に成長すると予測。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを駆使してビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の基盤としてクラウドを採用する企業の増加が見込まれるためという。
「18年のDXにおけるクラウド基盤の活用はPoC(Proof of Concept、概念実証)が中心だったが、18年下期以降、DXに関する取り組みがビジネスに実装される芽が出始めた。DXはPaaSの拡充とともに、19年に市場を成長させる一因になるだろう」(矢野経済研究所)
また同社は、市場規模は20年に5400億円、21年に6750億円、22年に8400億円と拡大を続けると予測する。いまも基幹システムをオンプレミス環境に置く企業が多く、市場開拓のポテンシャルが高いと判断したためだ。
同社は「SAPが手掛けるERP(統合型基幹システム)の保守サポートが25年に終了する予定で、これに対応するために『SAP S/4 HANA』をAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure上に構築することを検討している企業もある。最近は、基幹系システムのクラウド移行事例も増加しており、今後の市場拡大要因の一つになるだろう」と分析している。
調査は18年11月〜19年3月に実施。同社研究員による面談、電話やメールによるヒアリング、郵送による法人アンケートなどの手法をとった。
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