なぜ出版不況の今、LINEが“小説ビジネス”を始めるのか?(1/2 ページ)
LINEがコンテンツ事業「LINEノベル」をスタート。インターネット上で読める小説を配信する取り組みで、LINEオリジナルの作品を制作・提供する。提携する出版社の既存作品のデジタル版も提供する。一般ユーザーが作品を自由に投稿できる仕組みも設け、小説家志望者の創作活動を支援する。この事業を始める理由を取材した。
「『LINEスタンプ』『LINEマンガ』『LINE MUSIC』に続く、新たなコンテンツ事業に挑戦する。それは『LINEノベル』だ」――。LINEの舛田淳取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)は、4月16日に開いた会見でこう宣言した。
LINEノベルは、Webサイトか公式アプリで小説を提供するサービス。LINEオリジナルの作品を制作・配信するほか、提携する出版社の既存作品のデジタル版も提供する。各作品は小分けにして提供し、ユーザーは1〜3話までは無料、それ以降は課金することで読み進められる仕組みにする。小説は現在は準備中で、今夏にも配信開始する予定。
利用の促進に向け、課金なしでも読み進められる仕組みも用意。同サービスのコンテンツを一定以上閲覧したユーザーに対し、利用時間に応じて「15分間無料」「30分間無料」といったチケットを配布(1週間で失効)。「読書に対するハードルを下げ、20〜30代の若年層などにもっと著作物を読んでもらいたい」(LINE広報担当者)としている。
オリジナル作品を書籍として販売する計画もあり、課金収入と販売収入を主な収益源とする。ユーザーの読みやすさを重視し、サイトやアプリには広告を表示させず、広告収入は得ない。収益目標や、黒字化のめどは現時点では非公開。
一般ユーザーが作品を自由に投稿できる仕組みも設け、人気の作品には出版社が書籍化のオファーを出す。同日から公式サイトで作品の投稿を受け付ける。舛田CSMOは「読者が小説やライトノベルの楽しさを知る機会を創出するほか、新たな才能を発見し、(才能ある新人の)作品を届けられるようにする」と語る。
なぜ今“小説”なのか
LINE広報担当者によると、斜陽化がささやかれる出版関連ビジネスにあえて取り組む理由は、「スマホ時代を席巻するコンテンツサービスを作るため」。ユーザーが自由にコンテンツを配信・販売できるサービスはピースオブケイクの「note」などがあるが、noteではユーザーの体験談やオピニオンをまとめた作品も取引されている。LINEノベルはあくまで“小説”にこだわることで差別化を図る。
かつて“ケータイ小説”が大人気となり、「恋空〜切ナイ恋物語〜」「天使がくれたもの」といったベストセラーが生まれた流れを再現し、ネット発の魅力ある作品を広く世に送り出す狙いもある。
舛田CSMOも「スマホ時代の象徴となるノベルサービスはいまだに登場していない。だからこそ当社はテキストベースのサービスにチャレンジし、多彩なコンテンツをデリバリーする仕組みを作る」と意気込む。
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