改元でシステム不具合よりも深刻だった“人間の脆弱性”:ITりてらしぃのすゝめ(3/3 ページ)
改元に伴い、心配されていたITシステム関連のトラブルはどうだったのか。何が起こったのかをあらためて振り返ってみる。
私の場合、そのアプリは漢字かな変換エンジンの「ATOK」です。また汎用スプレッドシートの「Excel」も元号対応があるとありがたいので、すぐアップデートしました。ATOKだと2019年5月1日の変換候補に「令和元年5月1日(水)」と出してくれます。Excelに関しては、日付を処理するマクロをフル活用したスプレッドシートで影響がないか、早めにチェックしておくべきかもしれません。
ITシステム以上に脆弱なのは「人」
そして元号変更に関する詐欺事件も表面化しつつあります。手口としては、銀行、郵便局のキャッシュカードが「新元号に伴い利用ができなくなる」とだまし、暗証番号とカードそのものを切り替えと称して奪うというものです。狙われるのはやはり高齢者で、元号変更は初めてではないでしょうが「ITシステムが発達して初めての元号変更」なのが攻撃のきっかけになっているようです。
これに関しては、やはりITリテラシーを付けていただくしかありません。しかし、ほとんどの高齢者はITに拒否反応を持っているはずで、なかなか進んで学ぶことはないと思います。反面、多くの高齢者はスマートフォンを活用していて、孫の顔を見るためにテレビ電話を活用したり、音声入力でメールを書いたり、調べ物をしていたりと、決してIT弱者ではない側面もあります。
そのため、ぜひ皆さんも実家に帰ったときに、お金と家族を守るためにほんの少しだけITの話をしてみてください。どんなに精神的に強い方でも、だまされたことが分かったらへこみます。それがきっかけで病気になってしまうかもしれません。それは高齢者だけの問題ではなく、私たち社会全体の問題なのかもしれません。
改元をきっかけにして脆弱性を突くサイバー攻撃はあまり想定できませんが、人の脆弱性を突く「詐欺」はこれからが本番だと思います。改元だけでなく、新札発行、芸能人のスキャンダル、センセーショナルな事故が詐欺被害のきっかけにならぬよう、家族で話し合うことをお勧めします。
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