条件は「支援金額1000万円」 キングジムの電子メモ「カクミル」、商品化までの長い道のり:体当たりッ!スマート家電事始め(2/2 ページ)
キングジムの「カクミル」は、手書きメモにアラームを設定できる「電子メモ」。電子ペーパーを採用し、電源オフでも書いた内容は表示されたままだ。そして話題になったもう一つの理由が、クラウドファンディングを活用して「商品化を勝ち取った」ことにある。
書きたいときにぱっと使える電子メモ
筆者もカクミルを試用した。4.3インチという画面サイズには様々な意見があると思うが、デスクの上に置いても場所を取らない点は気に入った。縦置きにできるため、紙のメモ帳と比べても専有面積は変わらない。
カクミルのデザインには東山氏のこだわりが詰まっている。例えばフロントパネルの“凹み”は、開いた紙のノートのページとページの谷間(=のど)を模した形状になっている。「ペンを置いて、書きたいときにぱっと手に取れる感覚を伝えたかった」(東山氏)。デジタル文具でありながら無機的なガジェットっぽくないデザインを意識したという。
書き心地は紙のメモに近い感覚だ。ペンの太さは3段階で選択が可能。書いたメモには日時を指定してアラームを設定できる。そして画面を常に表示したまま、単三形アルカリ乾電池もしくは充電式の「エネループ」4本で約3カ月間使える点もいい。カクミルが机の上にあれば、紙のメモと同様、一日に何度もメモが視界に入るからだ。1万4000円(税別)という価格は人によって評価が分かれるだろうが、デジタルペーパーの特長を生かした便利なデジタル文具に仕上がっていることは間違いない。
取材時、既にMakuakeの支援者にはカクミルが届けられており、東山氏の元にはたくさんの意見が寄せられていた。その中には「こんな製品を待っていた」というポジティブなものもあれば、機能や仕様について細かく改善を求める声もある。そうした意見についてはすぐに対応を検討した。例えば「オートスリープモードから、画面をタッチして入力モードに復帰させる時に鳴るビープ音がうるさい」という指摘については、製品版の発売日(5月31日)に公開したファームウェアアップデートでビープ音の有無を選べるようにした。
「クラウドファンディングを利用したことで、市場とユーザーの生の声に触れ、機能アップデートなどの改善にもいち早く取り組めるようになった。今後もカクミルをより使いやすいものにしていきたい」と東山氏は満足げ。情熱を持った開発者にとって、クラウドファンディングは良きパートナーとなるのかもしれない。
【訂正:2019年6月4日14時30分更新 ※マメモとトレネに関する記述の一部を修正しました】
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