「生き残れるデータサイエンティスト」になるために必要な習慣とは?(2/2 ページ)
「SAS FORUM JAPAN 2019」のセッションに、AIベンチャーで働きながら執筆活動などを行うマスクド・アナライズさんが登壇。データサイエンティストを志望する学生に向けてキャリア設計のアドバイスを送った。アップデートとアウトプットを継続することが、業界で生き残るために重要だという。
“老害”にならないために、アップデートとアウトプットが重要
マスクドさんにとってのアウトプットとは、約1年半前に始めたTwitterだ。業界を“斬る”ツイートの他、AI人材のキャリア構築を巡る持論、ビジネス書の書評、イベントの告知などを展開し、多くのフォロワーを獲得。コンテンツ配信サービス「note」でもブログを執筆している。
SNSだけでなく、スキルアップに必要な情報などを集め、自分なりの解釈を加えた上で発信する作業は、「データの分析だけでなく、技術論文を読んだり、事例を調べたりし、資料を作って偉い人を説得するスキルの体得にもつながってきます」という。
そんなマスクドさんが情報を収集・発信する習慣の大切さを痛感したきっかけは、日々の営業活動で接する一部の顧客の姿だった。
マスクドさんは「大企業の偉い人ほど、20〜30年前の状況(や知識)を引きずったままです。例えば、仕事を部下や外注先に丸投げして新しいものを覚えず、『変わるのは認めないぞ』とAI導入に反対する人がいました」と話す。
「詳しいはずの人でも、『AIを使えば何でもできるんでしょ』『ディープラーニングってすごいね』『うちの工場も来月から無人化してほしい』と(見当外れの意見を)言ってくる例がありました。そんな“老害”にならないために、アップデートとアウトプットが重要なのです」
新しい仕事につながるケースも
理由は言えないとのことだが、マスクドさんは勤務先を6月末で退職することが決まっている。これに先駆け、4月にTwitterで「仕事を探しています」とつぶやいた結果、業界関係者の目に止まり、26件の転職オファーがあったという。万人に当てはまるとは限らないが、自身の知識や経験をSNSで発信し続けることは、新しい仕事につながるケースもあるのだ。
「最新の情報を手に入れて、自分なりに理解して発信する。会社も個人も、それを繰り返さないと生き残れないんです」とマスクドさんは強調する。
「(業界は)つらいけれど、それ以上に面白い。学生の皆さんには、アップデートとアウトプットの重要性を理解してほしい。AIとデータサイエンスで世の中を変えていきましょう」
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