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「僕と契約してデータサイエンティストになってよ!」 分析少女ありさ☆アリスの悲劇マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/4 ページ)

未経験からデータサイエンティストを目指した「分析少女」に起きた悲劇とは。一部の怪しいデータサイエンティスト養成スクールへの警鐘を鳴らす物語。

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しごと発掘ラボ

 「交わした契約忘れないよ〜ファイル開き確かめる、押し寄せ〜たバグ、直さずにリリース〜♪」(女子中学生2人組の歌っぽく読んで下さい)

 社会人として働いていると、誰しも自分のキャリアに不安を感じることがあると思います。IT・AI業界も例外ではありません。そして、最近はAI(人工知能)ブームもあり、データサイエンティストの需要が高まってきています。データサイエンティストは高収入というイメージもあり、未経験からデータサイエンスを学び、転職を目指している人も多いでしょう。

 しかし、最近はAI業界で転職を考えている人を狙った怪しい業者も増えていると思っています。今回は「分析少女ありさ☆アリス」と題し、怪しい社会人向けスクールの担当者が、転職を目指すとある女性の人生をどのように狂わせていったのかを紹介しようと思います。(一応)この物語はフィクションです。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl

(編集:ITmedia村上)


第一章:契約

 都内で働く「鹿日ありさ」さんは新卒で某通信会社に入社し、いまは携帯ショップ店員として働いています。社会人も3年目になると、日々の仕事は単調に感じ、将来に対して漠然とした不安を抱えるようになります。

 世間でも「AIで仕事がなくなる」「終身雇用が崩壊する」といった、毎日を憂鬱(ゆううつ)にさせるような話題があふれています。焦りを感じたありささんは、新しいスキルを身に付けたいと思って上司に異動願いを出すものの、却下されてしまいました。

 自分の特技や能力を生かすには、いまの会社ではダメなんじゃないか。このまま埋もれてしまっていいのか――そんな思いを抱える中、ネットでとある広告を目にします。

 「僕と契約してデータサイエンティストになってよ!」

契約
データサイエンティスト養成スクールの広告イメージ(筆者作成。いらすとや)

 どうやら社会人向けのデータサイエンティスト養成スクールの広告のようです。「データサイエンティストは将来性があり、高い収入も期待できる職種です。文系、未経験もOK。当スクールではゼロからプログラミングを学べるだけでなく、AI業界への転職支援もします」

 懸命な読者は警戒するでしょうが、「IT企業=おしゃれなオフィスで服装自由」「プログラミング=何だかスゴそう」というイメージを持つ人もいます。データサイエンティストになれば、自己実現と年収を両立できるのではと期待する人もいるでしょう。

 当然、世の中にうまい話はありません。しかし、いまの人生を変えたいと強く願っているありささんはスクールの無料説明会に参加しました。そこに登場した担当のハチュべえさんは、こうアピールします。

 「転職こそ、最短最速最高のキャリアアップです」

 「AIで仕事を奪われる前に、AIを作る側になりましょう」

 「終身雇用は崩壊寸前です! 実社会で役立つスキルを身につけましょう」

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