ラーメン屋・幸楽苑、店長の「シフト作成」をクラウド活用で自動化へ 「バイト入れる?」と聞く手間省く(1/2 ページ)
ラーメンチェーンの幸楽苑が、アルバイトの勤務シフトを自動作成するクラウドサービス「beepシフト」を導入する。アルバイトが働きたい日時を専用のアプリに入力すると、時間ごとに必要な人数を分析した上で、シフトを作成する仕組み。店長が手作業でシフトを決める負担を軽減する狙い。
ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は7月4日、アルバイトの勤務シフトを自動作成するクラウドサービス「beepシフト」を店舗運営に導入すると発表した。アルバイトが働きたい日時を専用のアプリに入力すると、全員のスケジュールをクラウド上に集約。時間ごとに必要な人数を分析した上で、自動でシフトを作成する仕組みだ。店長が手作業でシフトを決める負担を軽減する狙いがある。
シフトの空きや欠勤が出た場合は、アルバイトに自動でプッシュ通知を送り、代わりの人を募集する。同じチェーンの近隣店舗に支援要請を送ることも可能。ヘルプに入るスタッフは、アプリ上でその旨を店長に連絡できる。
これまで空きや欠勤が出た場合は、店長がアルバイトに1人ずつ連絡して働ける人を探していたが、この負担もなくなるとしている。
ブロックチェーンとAIで相性を算出
アルバイトの勤務実績などの情報はブロックチェーンで管理する。多くのデータを集めてAIで分析し、最も成果が出やすい人員の相性を算出した上で、シフト作成に生かす計画もあるという。
まず7〜9月にかけて2店舗に試験導入する予定。10月から段階的に拡大し、2020年8月以降に全店舗に導入する計画だ。試験導入する2店舗は現時点では非公開だが、近く決定するとしている。
店長を本業に専念させ、コミュニケーションも円滑に
幸楽苑HDの新井田昇社長は「店長は1日当たり1〜2時間をシフト作成に充てている。これをできる限りゼロに近づけ、調理やマネジメントなどの本業に専念できるようにしたい。従業員の働き方を改革することで、サービスの質を上げていく」と説明。
「アルバイトの中には、コミュニケーションが苦手な人がいるかもしれない。今後は電話や対面ではなくアプリでシフトを提出・調整できるため、店長との人間関係も円滑になると考えている」と期待を込めた。
人手不足解消にも期待
beepシフトは、Amazon Web Services(AWS)ベースのSaaS型サービスで、ベンチャー企業のbeepnow systems(大阪府西区)が開発・提供している。
同社のアレックス・サイCEO(最高経営責任者)は「シフト作成を自動化すると、短時間のみ働ける人をシフトに組み込みやすくなる。学生や主婦など『(学業や家事と両立しながら)働きたいけど、働けない』と悩んでいた人を雇用すれば、人手不足を解消できる」と強調した。
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