「くら寿司」がテクノロジー活用に本腰 店頭受付の省人化、アプリで事前注文・決済など開始(1/2 ページ)
くら寿司が、公式アプリを活用して、顧客の利便性と店員の業務効率を高める施策「スマホ de くら」を始めると発表。その一環として、アプリで予約した顧客が来店した際に、店員を介さずディスプレイで受付する仕組みを導入した。座席からアプリで商品を注文できるサービスや、アプリで事前に注文・決済を終えた顧客に、店頭で商品を手渡すサービスも始めた。
回転すしチェーン「無添 くら寿司」を運営するくら寿司は7月16日、スマートフォンアプリで事前予約した顧客が、来店時に店員を介さずにディスプレイで受付できる仕組みを導入した。座席からアプリで商品を注文できるサービスや、アプリで事前に注文・決済を終えた顧客に、店頭で商品を手渡すサービスなども始めた。
16日に公式スマートフォンアプリ「くら寿司予約アプリ」(iOS/Andorid)をアップデートし、一連の機能「スマホ de くら」を追加した。当初は利用できる店舗は限られているが、順次拡大する計画だ。
顧客の利便性と店員の業務効率を高める狙い。各サービスを始めた店舗では、顧客が店内で飲食する時間が1日当たり約45分減るとの試算が出ている。回転率を向上させ、顧客単価と既存店売上高を増やす目的もある。
受付のプロセスを短縮
くら寿司ではこれまで、アプリで予約した顧客が来店した場合は、従業員が予約画面を目視で確認。口頭や店内放送で座席番号を伝えていた。
この手間を解消するため、今回の施策では、店内に専用のディスプレイを設置。予約客が来店すると、画面をタッチするだけで受付が完了し、画面上に座席番号を表示する仕様とした。そのため、顧客は店員と話すことなくスムーズに着席し、すしを食べ始められるようになった。
すでに都内など6店舗で開始しており、10月末までに30店舗まで増やす計画。2020年10月末までに全店舗(432店舗)に拡大する予定だ。
くら寿司はクラウドを活用した顧客管理を進めており、順番待ちや予約状況の管理にAmazon Web Services(AWS)ベースのサービス「EPARK」を使用している。今回の施策でも、顧客の来店予約などを同システムで管理する。
店内でもアプリから注文OK
また、くら寿司の店内には現在、各テーブルに1台のタッチパネルがある。顧客は画面を操作することで、レーンに流れていないすしネタ、サイドメニュー、ドリンクを注文できる。回転すし業界では一般的な仕組みだが、パネルから遠い席に座った人は操作が難しく、近い席の人が代わりに注文する手間が生じていた。
この手間を解消するため、同社はアプリにメニューを閲覧できる機能と、好きな商品を注文できる機能を追加。顧客は座る位置を問わず、誰もが自分のスマホで商品を選び、任意のタイミングで頼めるようにした。
顧客が予約せずに来店し、受付後に待ち時間が生じた場合は、アプリで食べたいものを選び、事前に注文できるサービスも始めた。店員は顧客が待っている間に調理を済ませ、着席するタイミングでテーブルに届ける。これにより、顧客の滞在時間の減少と、回転率の向上を図る。
支払いの際は、個別会計の他、最大6人のアプリを連携して代金を合算できる仕様にした。決済手段として、スマホ決済サービス「LINE Pay」「楽天ペイ」にも対応した。
一連の注文・決済サービスは、9月末までに約250店舗に導入する予定だ。
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